たまらん中古車
第7回「和テイストを感じる車といえば」



アメ車にアメリカンなテイストを感じる、イタ車にイタリアンなテイストを感じる。そりゃ当然、と思うでしょう。でも、日本車に感じるテイストとは?
日本車はコンセプトが足りないだの、哲学や個性が無いだのと言われて来ましたが、日本車には「和」テイストは無いのだろうか?
我々日本人は生まれたときから畳と障子の部屋があり、味噌汁や刺身を食い、正月には初詣に行くのが当たり前となってます。駅のホームにはうどんの出汁の匂いが充満し、夏には浴衣が、卒業式には羽織袴姿が大勢揃う。敢えて意識していない所に「和」が自然とあります。自然とあるから、目立たない。ひょっとして車もそうなのではないか?と思います。日本人が思う以上に、外国人は日本車に対してどこからか「和」を感じ取っているのかも知れないと。
それはレクサスあたりから感じ取れます。
そもそも「和」とは何か? お寺の境内であったり、日本庭園であったり、古都・京都であったり。静けさの中にあるデザインバランスの妙、そしておもてなし。高級車というジャンルにおいて、カチっとしてイバれるメルセデスや、グラマラスで情熱的なアルファロメオとはまた違う、静けさの中にあるデザインとおもてなし、こそ車における「和」テイストなのではないか?
と思うわけです。
そんな、日本人がおちつく「和」テイストをカジュアルに消化したような、まるでユニクロで売ってる浴衣のような車がこれです。




平成15年式 日産 キューブ
日産 キューブ SX 本体価格:45.2万円
日産 キューブ SX 本体価格:45.2万円




いやあ、よく見かけるこいつです。2代目キューブは、台形フォルムだった初代と大きくコンセプトを変え、見事なデザイン的まとまりをもって登場。ゴーン体制になってから出たマーチとキューブは本当に新しいデザインを提示していると思います。キューブはその名前の通り、スクエアなフォルムを徹底的に追求し、かつ、「可愛い」「格好いい」「道具っぽく使えそう」という見た目要素を全て満たしていると思います。他の車が「より速く走っているように、走りわ感じさせるデザイン」なのに対して、キューブは「止まっているように見える、部屋でくつろいでいるように見える」デザインを追求したのだそうです。キャッチコピーは「Cube. My room.」であったように、「動く部屋」がコンセプト。そして日本人が落ち着く部屋とは、そう、和室です。




格子状のグリル
格子状のグリル




このグリルの形状は障子をイメージしているに違いないでしょう。日本人の根底にすり込まれた障子の格子は、ホッとする何かがあります。それと同じ物を街でキューブが走ってくるたびに感じるのです。「あ、障子が走ってる」と。そして、威張ることなく、奇をてらうことなく、控えめに。かつ、バランスの取れた縦横比率。これぞ「和」のテイストなのではないかと思うわけです。




徹底したスクエアフォルム
徹底したスクエアフォルム




前後・横でデザイン的に遊びすぎて微妙に破綻しているような車はいっぱいありますが、キューブにはそれがないんです。どの角度から見ても「四角」だし、同じ印象を受けます。これはデザインの完成度が高い証拠だと思います。斜めの線がほとんど無い。曲線もほとんど無い。それでいてどこか優しい。この標準のホイールキャップのデザインも、ボディと調和が取れていると思います。この車にはこのホイールキャップでないとだめなのでしょう。ここにBBSの細いスポークのアルミなど、絶対似合わない。和室には足袋が似合うのと同じなんです。




左右非対称なリアビュー
左右非対称なリアビュー




そしてキューブのデザイン上のもう一つの特徴は、リアビューが左右非対称であるということ。ハッチが左から横に開くため、右側にヒンジがあります。左側にも当然Cピラーはありますが、右より細く、ブラックアウトされています。これは運転席から後ろを見たときに死角が少なく、合理的な設計です。この非対称なリアビューはまたキューブのインパクトをより強めているように思えます。
そしてリアコンビランプの形状も徹底して四角。その中に、渦を巻いているような造形。ディテールを見て気づくこのデザインは、日光東照宮の天井に細かく描き込まれた絵のような、一見控えめだけどもチラリと見せる和デザインの執念のようなものを感じさせます。




運転席
運転席




インパネ周り、ダッシュボード周りのデザインは割と平凡です。水玉模様のような造形がされているくらいで、ホントにここは何の主張も無いように思えます。
ただし乗り込んでみると、中もスクエア感、部屋感がちゃんとあることに気づきます。フロントガラスの傾斜角がかなり立っていること、天井がそれなりに高いこと、シートが柔らかめであること。「移動する部屋」というコンセプトは内装にも表れています。そしてやはり、落ち着くんですね。




部屋であり、道具である
部屋であり、道具である




「道具」としてのユーティリティ感があるのに、ダサくない。このキューブのイメージは、思い切った「逆張り」デザインに起因すると思います。「止まっているように見える」というコンセプト。部屋に友達をいっぱい呼んで、B'zでも聞きながらワイワイと騒ぐ楽しさが、キューブからは感じ取れます。
今は3代目が出ていますが、ちょっとデザイン的にいろいろやりすぎた3代目よりも、このシンプルな、木造の賃貸アパートに新婚夫婦が住んでいて、家具は全部イケアみたいな感じの2代目キューブが、色あせない魅力を放ち続けていると思うんですよ!


日産 キューブ SX | 中古車ならGoo-net(グーネット)
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※当ページ内の内容は2010年12月18日現在の情報です。




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