たまらん中古車
第13回「ワイルドでも謙虚で行こうぜ!」



小学5年で初めて「オフロード」のRCカーを買ってもらってから今に至るまで「オフロード」が好きなんです。四駆のイボイボタイヤが泥とか砂を巻き上げながら、岩場でも平気で走っていく。アスファルトなんかいらねェぜ!沼地でも何でも来いや!という侠(おとこ)気。オフロード・バギーやモンスタートラックといった特殊な車は、男の子の何かを奮い立たせるものがあるんです。子供は皆、「乗り物系」か「ヒーロー系」のどちらかに憧れるものだと思いますが、「乗り物系」方面に行き、その中でもさらにハードコアな物が好きな子供は、バギーやモンスタートラックみたいな攻撃的な所に行くんだと思います。
そんな子供時代の夢も、大人になると現実と向き合う事で、少しずつ忘れていきます。車が生活に必要だ、マックスバリュまで嫁を乗せて、おかずを買いに行かないといけない。子供を幼稚園まで迎えに行かなければならない。そんな時に使う車がバギーやモンスタートラックだったらどうする?「あのお父さん、格好いいわね!」と言われるどころか、やれ「立体駐車場に入らない」だの、「嫁がマニュアル車運転できない」だの、「荷物が載らない」だの、社会不適合「車」扱いを受け、家の中で肩身の狭い思いをしなければなりません。嫁と子供が寝静まった後に一人台所で車雑誌を読むのが唯一の楽しみ、ということになります。
そんな大人の夢を少しでも形にしたのが、この車です。




平成13年式 スズキ ジムニーXC 6インチアップ
スズキ ジムニーXC
スズキ ジムニーXC




スズキ・ジムニーという車種です。何となく知ってますかね?有名なような、有名でないような。ジープ、じゃないです。軽自動車のスズキが作った、軽自動車にして本格的な「クロカン」四駆。
この手の車は、今はSUV(Sport Utility Vehicle)と呼ばれますが、結構軟派な車種も多いんです。四駆っぽい感じなのにファッションで終わるような。そもそもオーナーが汚れる事を極端に嫌ってピカピカにしてたりとか。それはそれで都市型のSUVとしては良いと思うんですが、SUVよりももっとずっと、岩場や悪路の走破性が高い車のことを「クロカン」といいます。「クロスカントリー」の略です。知ってました?
元祖クロカンはやはり「ジープ」ですが、そこから様々な車種が生まれて今に至っています。
この「ジムニー」はそんなクロカンシーンの中でも軽自動車という、車の種類としては世界的にも結構レアな部類に入る車になります。軽自動車があるのは日本だけですからね。
そして軽自動車としてのオモチャ感と、しっかりとした基本性能から、大勢の固定ファンが付いている車種でもあります。




サイドビュー
サイドビュー




普通のジムニーでも良いのですが、今日はあえて改造パーツ満載のジムニーをご紹介。ご覧の通り、タイヤがでかいです。これはインチアップという定番の改造で、タイヤの径が大きい物を取り付け、ボディと干渉するからボディ自体も上に上げるといったことをしています。それにより、悪路の走破性が一気に増すわけですね。
同時に、サスペンションなども強化しないと、ノーマルのままではボギっと折れちゃいます。あちこち手を入れて、このような変態カーが生まれたわけです。
土日に富士山周辺の、朝霧高原あたりの道路を走った事がある人は分かると思うのですが、あの辺にオフロードのコースがあるようで、こういったインチアップしたジムニーやパジェロ、ランクルなどがわんさかと泥だらけで走ってます。何でと言われても、そういうホビーなのです!




リアビュー
リアビュー




もう、ボディの後部がへっこんで、ボコボコになってますよ!これがカローラだったらクレームものでしょう。こんなプリウスだったら要りません。でもジムニーだったら許せませんか?スラックスだったら破れたら不格好なのに、ジーンズだったらほつれがオシャレになるというアレと同じです。「俺はボディがボコボコになるような悪路を走破したんだぜ」という、男の勲章というわけです。次のオーナーもおそらく、敢えて直さずに乗るでしょうね。




タイヤ
タイヤ




オシャレは足下からとよく言いますが、このインチアップしたジムニーだと、もうタイヤとか足回りばかり目立つわけです。だからタイヤはファッションアイテムとして超重要。このダンロップの文字が白色で書かれているのは「ホワイトレター」と言いますが、これも重要なファッションなのです。無駄にダンロップと主張して格好良いでしょう?車を走らせるためにタイヤが付いているのではなく、タイヤを転がすために車があるのです!




リヤサス
リヤサス




見て下さい、リア部のカスタム具合!青い縦の棒が「ショック」で、赤いのが「スプリング」、手前の右上がりの棒は「スタビライザー」で、マフラーもどこかのメーカーのものに取り替えられています。いかにも悪路走りそう。もう、悪路の事しか考えてないに違いありません。おそらく、この車のオーナーは寝る前に、「明日はどんな悪路を走ってやろうか」と考えてから寝ているに違いありません。
ジムニーのボディは結構地味目なので、余計にこういった足回りが目立ちます。ジムニー愛好家たちは、自分の車の足回りの事について、何時間もファミレスで話し合ったりできるのでしょう。男のホビーとしてそんな充実した時間はうらやましい限りなのであります!




コックピット
コックピット




コックピットは一切飾り気無し!レーシーでもスポーティでもありません。それどころか軽トラと同じくらいの簡素さ!軽自動車の内装が豪華になり、オシャレになったのはほんのここ数年のことなのです。この時代の軽自動車はみんなこういう内装なんです。でもそれに何の不満がありましょうか?あの足回りがあり、悪路が走破できるだけで最高でしょう?
確かに立体駐車場には入れないかも知れない。マックスバリュに行っても目立ちすぎてジロジロ見られるかも知れない。嫁も運転できないかも知れない。車高が高すぎて、子供を幼稚園に迎えに行っても乗り降りに不自由するかも知れない。なによりサスが堅すぎて乗り心地など二の次かも知れないし、走ればタイヤからはグオーっと凄い音がして会話に不自由するかも知れないし、燃費も悪いかも知れない。そして、おそらく、女の子にモテる事はない。これで湘南にデートに行こうなんてことをすると、フラれるかも知れない。これでお葬式に行くと不謹慎と言われるかも知れない。
でも、オーナーはそんな不自由さすら楽しんでいるに違いない。そうでなければ自分だけの車の楽しみ方を追求することなどできない。違法改造ではなく、ちゃんとナンバー付けられて公道を走れる。しかも税金の安い「軽」でここまで遊べる。世界でも珍しいカテゴリの車、ジムニー。う〜ん、たまらん!




スズキ ジムニー XC グラントレックマッドタイヤ 6インチリフトアップ | 中古車ならGoo-net(グーネット)
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※当ページ内の内容は2011年4月4日現在の情報です。




関連サイト
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世代を超えて。時代を超えて。ジムニー
スズキ ジムニー
スズキ株式会社




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