たまらん中古車
第19回「日本で一番、偏見を持たれている車と言えば!」



さていきなり宣伝!まず、僕とポリゴン太さんとで車のポッドキャスト番組をやっています。毎回毎回、車に関する話題だけで盛り上がるという車番組!こちらのブログにて配信中ですので、車好きなら是非iTunesに登録してください。

「BUBBLE-B・ポリゴン太のDriving Pleasure」


あと、ライフワークとして次の車候補研究も兼ねつつ、新車の試乗を色々と行っているのですが、BUBBLE-Bが2011年上半期に試乗した20台の中から、BUBBLE-Bカーオブザイヤー2011年上半期を選んでみました!20台全部の軽いレビューと写真があります。見たい人はこちらをどうぞ!

「一人カーオブザイヤー 2011年上半期」(みんカラ)


ということで今週の「たま中」の車はこれだ!!




平成11年 トヨタ センチュリー
ドーン!来たぁぁぁ
ドーン!来たぁぁぁ




ここに来てついにこの車の登場です。トヨタ・センチュリー。まさかこの車を知らない人はいないでしょう。堂々たるフォルム、そしてどこか古風で和風な佇まい。この車が走っていると、つい車内を覗いてしまいませんか?「どんな政治家が乗ってるんだろう」と。堂々としているのに、不思議と威圧感が少ない。威張っていない。主張していない。でも、ドンと構えた存在感。異様に長い、リアのオーバーハング(リアタイヤからケツの先までの長さ)。フェンダーミラー。何ですか、この車は!
明らかに「自分とは違う世界の人が乗っている車」という感じ。いくらクラウンやレクサスが頑張っても、こうはならない。「こんな車、一生乗れないだろうなあ」という諦め感、そして絶望。そんな庶民を横目に、今日も「要人」を乗せて日本の道をゆっくり走るトヨタ・センチュリー。実際の所、どうなんでしょう?




リアビュー
リアビュー




そもそも、なぜこの車が政治家や社長御用達であるか?を考えてみましょう。政治家や社長は「要人」ですから、車に何かがあって、要するにポンコツの車に乗って車が壊れたりしてはいけないわけです。そして政治家や社長という人たちは威厳がないといけません。なめられてはいけない仕事です。なめられないように振る舞うのも仕事ってものです。
でも、信頼性が高くて威張れる車なんて他にもいくらでもあるじゃないですか。そうじゃない。そう、一番大事なのが、このポイント…「匿名性」なんです。センチュリーという車は、センチュリーはセンチュリーのままであり、微妙な色の違いなどはありますが、だいたいどのセンチュリーもセンチュリーのまま、ですよね。変なウイングとか付けないしホイールも純正のまま、ってなものでしょう。そして後部座席にはスモークよりもカーテン。まあこれは関係ないか。「どのセンチュリーもセンチュリー」。つまりこれは、「センチュリーという車は、政治家や社長が乗る物」という文化が日本にはあるため、その輪の中に入っていれば「とりあえず安泰」で「目立たない」のです。誰にも指さされない。「あ、偉いんだな」と思われるだけなのです。
これが間違って「キャデラック」や「リンカーン」、「ベンツSクラス」、「ベントレー」だったらどうでしょう。「金持ってる事を威張ってる」というキャラクターを楽しめない、車に対して興味の無い人には、不必要なキャラクターなんですね。そして目立ってしまうし、疲れてしまう。「あ、あの人のキャデラックだ」と、いちいち指指される生活。そういのを好まない、隠居のように身を隠す場所。誰にも指指されることない、自己主張の無い「右にならえ」文化こそが日本の心の安らぎ。それが「センチュリーの匿名性」なんです。分かりますか!?




斜め後ろ
斜め後ろ




でも、皆さんどう思っているか分かりませんが、センチュリーは日本の最高の車、だと思っている人は多いと思います。センチュリーこそが最高級、センチュリーこそが値段も最高、だと。確かに、V12エンジンなどを積んだ国産車はセンチュリーくらいしかありません。そして細部まで手作り。トヨタの物づくりの魂が込められた車です。でもちょっと待った。今の代のセンチュリーがデビューしたのは1997年。もう14年選手なのですよ。その間に車はどんどん進歩しました。レクサスだって日本で展開して、1100万円のセンチュリーより高い1300万のLS600という車種があります。価格だけ見ると、レクサスLFAというスポーツカーは3000万円以上するもので、ぶっちぎりの日本最高額です。まあ、レクサスとトヨタを分けるならばトヨタ最高級であることに変わりは無いのですが、このグローバル時代において、メルセデスやアウディ、ベントレーや果てはロールスのような高級車がガンガンある中で、センチュリーはどういう車なんでしょう。ほら、特殊な感じがしませんか?




コックピット
コックピット




自分はセンチュリーには2度ほど乗ったことがあります。後部座席です。運転したことはありません。後部座席、さぞや最高なんじゃないの?と思われると思いますが、これが意外とそんなに広くない。ん?と思います。そしてサスはフワフワなのですが、なんだか微妙な路面の突き上げがある。「スポーティ」というセッティングとは対極。エンジンは流石に静かですが、今のV8セダンとの違いはもう分かりません。
何より、室内インテリアがなんだか古くさいんです。そりゃもう15年選手ですから仕方ないのですが、全てのスイッチが日本語の表記であること、やたらフカフカで「応接間」感のあるシート、木目のあれこれ、カーテン…これらが醸し出す雰囲気が、「かんぽの宿」の内装なんですよ!「高級感」を国がプロデュースしちゃっておっさん好みになっちゃって、しかもちょっとくたびれてきた、みたいな。
だから皆さん、このグローバルな時代に「トヨタ・センチュリーは日本が誇る最高級の車です」なんて言うと、すでに日本車の基準からだと想像を絶する車作りをしてるメルセデスやBMWから見ると、恥ずかしいことこの上ない!「かんぽの宿は最高級なんです!フォー・シーズンズホテルよりもこっちの方が落ち着く!」みたいな物です。ああ、言い過ぎると怒られそうですが…どうせ一般人は買わない、「匿名」のための特殊な車。その車に乗る人の好みとニーズだけを忠実に形にしたらこうなったよ、という、トヨタの実直なマーケティングとエンジニアリングの固まりなのです!!




スイッチは全部日本語
スイッチは全部日本語




どうせこの車に乗るなら、変に改造などはせず、ありのままを受け入れるのが正しいセンチュリーのプレイの仕方でしょう。この車で山道を攻めるとか絶対駄目です。リゾート地も駄目です。コンビニに行くのも駄目です。立体駐車場も駄目だし(そもそも入らない)、イケアに行くのもやめておきましょう。もう、駄目駄目づくし。そんなもんです。車にはスタイルってもんがあるのです。フェラーリで近所のコンビニ行かないし、軽トラで高級ホテル行かないでしょう?
そして出来ることなら、自分は後ろに乗りましょう。この車を一人で運転していても仕方がないです。そして銀座や祇園に、芸者遊びに行くといいのです。夜のギラギラとした銀座や祇園が最高に似合う車は、ベンツでもBMWでもなく、センチュリーでしょう。イカしたバーやラウンジではなくて、あくまで芸者遊び!ここ重要です。




このトヨタV12エンジンは、片方壊れたら片方だけで走れるためにある
このトヨタV12エンジンは、片方壊れたら片方だけで走れるためにある




どうでしょうか、センチュリーの本質が垣間見えたでしょうか。そう、この車は昭和の高度経済成長のあの雰囲気を今に伝える車なんです。あの時代の世界のフラグシップカーは、やはりアメ車でした。キャデラックやリンカーンこそが成功者の証でした。日本人が必死にアメリカから学んで出来たのが、このセンチュリーと、日産・プレジデント、三菱・デボネアなんです。すでにプレジデントとデボネアはありませんが、センチュリーのみ残ってます。2代目になったとはいえ、ほぼ当時のままのコンセプト、当時のままのシルエットで。日本の国会議事堂や、千代田区の官公庁街が最も似合う車、センチュリー。中古で79万円です!たまらん!!




トヨタセンチュリーデュアルEMVツインマルチ純正16AWワンオーナー | 中古車ならGoo-net(グーネット)
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※当ページ内の内容は2011年7月4日現在の情報です。




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