たまらん中古車
第22回「ソツなく、ダサくもなく、日常の中にある日本の国民車」



結構長い間、日本で最も売れている車といえば「カローラ」でした。数十年とかそういうレベルで、カローラはずっと首位。戦後、日本がどんどん豊かになる中で、カローラは手頃な価格である程度の快適さも手に入るという、中流サラリーマン家庭にぴったりのまさに「国民車」。いつからでしょうか、カローラが売れている車の首位から転落したのは…
今日紹介するのは、そんなカローラのごく最近のモデル。非常に真面目に作られた車です。キャラが真面目なので、そのまま真面目に乗るか、グレさせるか、色んな遊び方ができそうですね。




平成14年式 トヨタ カローラランクス X エアロツアラー
トヨタ カローラランクス
トヨタ カローラランクス




そもそも「カローラ」とはどんな車なのかについて説明しなければならないでしょう。カローラという車は、高度経済成長期だった1960年代、小型で実用主義に割り切った車として発表された「パブリカ」が思ったほど商業的に成功せず、ならばもうちょっとデラックス指向な物を…ということで開発されたのが、初代カローラです。パブリカという車名は、「パブリックカー」 つまり、庶民の車という思いが込められているのですが、そこにデラックス性を追加したのがカローラのコンセプト。そのコンセプトは現在までずっとキープされています。
そしてカローラというのは「カローラ○○」という名前だったり、別名だったりして、数々のバリエーションがあるのも特徴です。この車も「カローラ・ランクス」という名前で、ハッチバックタイプのカローラとして世に出ていたわけです。




リアビュー
リアビュー




車名はブランド名であり、ブランドは信仰の対象です。カローラという車名に貴方はどんなイメージを持っていますか? おじさん臭いとか、サラリーマン的とか、そういったイメージではないでしょうか。若者が率先して買う車、って感じではないですよね、残念ながら。
なぜそうなったのかというと、歴史の長いブランドであるカローラは、当時カローラを買って乗っていた世代が、そのデキの良さに惚れて、その後もずっとカローラを買い続けた結果、その世代は今もう定年退職…みたいなことになったケースが圧倒的に多いのです。カローラを指名買いする人はおじさんばかり…みたいな事も頷けます。
でもトヨタとしては、こんなに真面目に作った車、色んなバリエーションを作って色んなニーズに応えるべきであり、おじさんじゃない、もっと若い層にアピールするにはどうすれば良いのか、とか、悩みまくっているに違いありません。

若者の車離れと同時に、歴史のある車名の高齢化というのは結構あります。このカローラを筆頭に、現役車種だとクラウンスカイラインブルーバードギャランくらいでしょうか。少し前までまだまだありましたが、車名と共に高齢化するユーザー、それと共に若者がおじさん臭いイメージを嫌い、その車種から離れていくという現象には勝てず、歴史のある車名がたくさん消えました。コロナマークIIサニーセドリックローレルカペラファミリア…etc。




サイドビュー
サイドビュー




そこでこの「カローラ・ランクス」ですが、トヨタは面白い方法(もとい常套手段)を採りました。トヨタにはいくつかの販売店(ディーラー)があるのですが、それぞれにカラーがあり、ユーザー層も違います。割と年齢層が高めのディーラーである「トヨタカローラ店」には、「カローラ・ランクス」として、カローラの信頼感とか安心感がある上で、ランクスという新しい要素とか若者感とか躍動感を提示。でもやはりカローラ。
そして若者ユーザーが多い「ネッツ店」では、「アレックス」という車名で販売されました。中身は同じですが、カローラという名前をバッサリ無くしておじさん臭さを消す作戦だったわけです。
この作戦は、昔は「カローラ」に対して「スプリンター」だったわけですけども。
何はともあれ、カローラという車名のブランドは重いんですね。




コックピット
コックピット




カローラの主役はやはりセダン。パーツの多くをセダンと共有するカローラ・ランクスですが、インパネ周りや内装もほとんどセダンと共通。若干スポーティな方向に振っているように思われますが、派手さはなく、ごくごく当たり前のことが、すんなり出来ているような感じでしょうか。チープでもなく、高級感があるわけでもない感じです。
ちなみに今は「カローラ」という素のままの車種はなくなり、セダンにも「カローラ・アクシオ」なんて名前がつけられています。




リアシート
リアシート




永遠の5ナンバー、カローラですが、コンパクトカーではないので、横幅は5ナンバー枠ギリギリまであるため、シートの横幅には余裕があります。リアシートもこの通り。さらにリアシートはリクライニング機構が付いているので、結構快適なシートです。
頭上の空間も、膝の前の空間も全く問題なし。乗用車として非常に真面目です。

乗り心地はさすがカローラファミリーということで、ソフト目な感じです。セダンのカローラ・アクシオと比べるとこちらは車重が軽いのか、マイルドさではアクシオの方が上です。眠たくなるような乗り味です。




エンジン
エンジン




なんてことはない4気筒1.6Lの可変バルブタイミングなNAエンジンです。音は静かな方で、車内にエンジン音が響く何てことはあまりないです。この辺もカローラという車種の真面目さを感じさせる部分です。

そんなカローラ・ランクス。車にキャラクターは求めず、ある程度快適さがあって、移動のための道具だと割り切るのであれば、最適な車種でしょう。車外パーツなども多いので、真面目さを捨ててグレさせることも十分できる車種かと思います。そう、過去のカローラはレースでも数々の実績のあるブランドでもあります。そして名車「86」のレビン、トレノもカローラファミリーです。ならばこのランクスだって、真面目なだけが取り柄ではつまらない。カスタムベースとして入手するのも楽しいと思います。価格もかなりこなれてきました。う〜ん、たまらん!




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※当ページ内の内容は2011年9月4日現在の情報です。




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