たまらん中古車
第27回「俺は悪い!だからタイヤが太い!」



車というのはある種、人格の投影でもあると思うんです。
カワイイ女の子はカワイイ車に乗り、家族思いのお父さんは家族を大きく包んでくれるような車に乗り、アウトドア好き野郎は後ろにタイヤを掲げたようなアウトドアーな感じのする車に乗り、キザな奴はパールの白の外観にシートが真っ赤の革とかのキザな車に乗り、謙虚な奴は謙虚で目立たない車に乗る。ペットは飼い主に似ると言いますが、車も同様。というか逆で、飼い主が自分に近いキャラクターの車を選んでる気がするんです、何となく。
そしてしまいには、車の外観がオーナーの顔に見えてきたりしませんか?ライトとグリルとバンパーが、目と鼻と口に見えてしまい、どうしてもその車に乗ってるあのオッサンに見えてしまう。なんてことは、自分は以前よくありました。学校の先生とか、近所のオッサンとか。車に対して「顔」という表現を使う以上、何らかの人格性がある事は確かなようです。
で、そんな中でも分かりやすい「ワル」車をご紹介。




2000年式 キャデラック ドゥビル DHS
フロントビュー 悪い!
フロントビュー 悪い!




ドーン!いわゆる分かりやすいアメ車っていえばこんなんでしょうか?「キャディラック」「リンカーン」神殿みたいなグリルと、やたらでかい車体というイメージでしょうかね。しかしながら、2000年代に入ってくると、さすがのアメリカ人もそういった車は「もう過去のもの。古いもの。おやじ臭い」というイメージを持ち、こういう車が「古いアメリカ」を象徴するような、保守的な車種になっていくわけです。
キャディラックなんかはモダンなデザインに生まれ変わってまだありますが、まだまだギラギラで「成功者の証」みたいなイメージのあるキャディラックは、この代くらいまででしょうか?ギラギラしてるでしょ?




リアビュー 悪い!
リアビュー 悪い!




前もドーンだったら、後ろもドーンとしてます。ふんぞりかえって葉巻吸ってますよ、これは。肉しか食ってない奴の乗る乗り物です。
とはいえ別に「悪い奴が乗る」ために作られたワケではないのです。当たり前ですが。要は、要人を快適に運ぶ。広大で延々と直線が続くアメリカの道を、要人は、成功した自分のプライドを傷つけることなく、車に乗りたいわけです。上にも書いたように車は人格。これくらいドーンと威張ってみれば、誰もバカにしないでしょう。ハイウエイでは車は避けていく…かな?アメリカでは当たり前すぎて無理かな?




サイドビュー 悪い!
サイドビュー 悪い!




今年の7月にアメリカに行ってきたのですが、こういうベタなアメ車は実はそんなに走ってなかったです。何て言うか、現地の車事情は意外と面白くないですよ。日本人が思ってる「アメ車」は今のアメリカには無い感じです。オワコン感というか。アメリカで今どんな車が走ってたかというと、半分以上は輸入車という感じ。日本車多いです。それも普通にアコードとか、日産のティアナっぽいのとか、カムリも多いし、プリウスも多かったし、インプレッサもありました。あとはドイツ車。BMWやベンツも多いです。アメ車はというと、最近のセダンが少なくて、SUVとかピックアップトラックが多かった印象。ピックアップトラックはアメリカ感じますね。農村だったら分かるけどあれを都会で乗り回すのはどういうことなんでしょうかね。
で、この古き良きリンカーンやキャディラックみたいなアメ車は、タクシーになってるわけです。イエローキャブ。アメリカのタクシーはだいたいフォードの「クラウン・ビクトリア」という車種で、これは「リンカーン・タウンカー」の姉妹車です。のっぺりしたデザインで、ダラっと走る。そんな印象の車です。まさに、おおらか。もうボロボロになってしまった車体ばっかりで、くたびれ感満点。アメリカの成功者の威厳も、今やタクシーにのみ残っている感じで、今のアメリカの成功者は皆、ドイツ車に乗るんでしょうね。
あと格好つけてプリウスに乗るセレブとか。ちょっと腹立ちますね。




ホイール これは悪い!
ホイール これは悪い!




で、このキャディラック・ドゥビルも「そんなアメ車」の典型的な車種ですので、とにかくでかいです。特に全長がとんでもないことになってます。日本車でこの長さは無いです。ボンネットもトランクルームも長すぎ。そして横幅もありすぎ。その割に車内に乗り込んでみると、そんなに広いって感じもなく、ただ、横幅だけがデブ対応って感じでヌボーっとある感じです。
ここにガッと雑に座り込んで、姿勢悪く、足とか組んだりするのがいいでしょう。そしてそのまま肉を食いに行くんです。何か俺アメ車の紹介になると毎回肉を食うとか書いてる気がしますが、そうなんだから仕方ない。
そうやって、ガラ悪くルーズに乗り込み、ただ真っ直ぐなフリーウエイを走るだけの車。速いわけでも、よく止まるわけでも、ない。山道は苦手。カーブになるとロールする。高速道路といっても、ドイツ車みたいにどこの速度域まで安定してビシーっと走るわけでもなく、150キロくらいで意外とフラフラし出すのも、剛性不足のアメリカンビッグセダンの特徴。いいんです。アメリカはおおらか。そんなにトバしてる奴もいないし、みんな適当で、土地は広くて、細かいことは気にしない。そんなシーンにピッタリだった車というわけです。




コックピット
コックピット




ドーンと迫力のあるマスクといっても、ベンツのそれとは全然種類が違う。こっちは(なぜか)マル暴の人はチョイスしないでしょう?なんなんでしょうかね。その理由、誰か具体的に説明してくれませんか。考えれば考えるほど理由が分からなくなってきます。
そしてアメリカンビッグセダンの時代は終わり、今はエクスプローラーとかの巨大SUVと、マスタングやカマロのようなマッスルクーペが、ニッチなニーズに向かって生き残ってるというアメ車
だからこの車も、いやがおうにもクラシックになってしまいます。古き良きアメリカのクラシック。アメリカではダサいとされているもの。でも日本ではまだまだ、ギラギラ感じますよね?この車、まだまだキャラクターが立ってると思いますよ。
なんせ、キャディラック。日本の国土には全く合いません。小回りも効きません。燃費もアレです。けど、キャディラック。こんなに手入れして、鏡みたいなピカピカなホイールを履かせてやると、アメリカのギラギラしていた頃のあの感じが楽しめます。これは一種のプレイ。そして車に合わせて、貴方の人格もアメリカナイズされていくことは間違い無いでしょう。車が人を創るんです!!そんな車。100万切ってる!!たまらん!!




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※当ページ内の内容は2011年11月18日現在の情報です。




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