墓場の漫画Digger
第5回「特別編 青少年健全育成条例と外圧と文化破壊!?」
条例改正は日本崩壊の序曲!?
条例改正は日本崩壊の序曲!?




今回の件についてみやわき心太郎先生の日記より
お久しぶりです。
今回は特別編ですよ。

まず、やはり漫画家として触れざるを得ないのは最近話題のこの問題。
もちろん自分も表現の自由という点で完全に反対です。

今回は特別編という事で自分なりの意見をいろいろと書こうかとも思ったのですが、無知な自分が無知な内容をおとぼけヅラで書き綴ってもしょうがないので、今回は漫画家・みやわき心太郎先生がmixiの日記に書かれていたお話を許可を得て転載させて頂きました。



ちなみにみやわき心太郎先生というのは
『街』などの貸本漫画誌や『COM』等の時代から現在まで活躍されている超ベテラン先生です。
「レイプマン」が有名ですが、もともとは「ハートコレクション」シリーズなど、非常に繊細な漫画を描かれていて、コミケ等同人イベントともゆかりが深く数年前に自分たちの創作同人誌に書き下ろし作品も書いてくださったほどの優しい先生です。

ちなみに少年ジャンプでも「革命児ゲバラ」というチェゲバラの実録漫画を短期連載されていた、ジャンプ作家としても超大先輩の先生です。
1969年(少年ジャンプ創刊一周年)の事です。

(…それと検索してたら「くだん書房」の店主の方の昔の日記の中でそうそうたる先生方の中にみやわき先生も並んでらっしゃって、今更ながら恐縮しました…。
先生その節はありがとうございました。
おかげさまであの同人誌から三人が連載を取る事が出来ました。
http://www.asahi-net.or.jp/~xn2m-fjst/nikki/nikki0604.html
↑この4/14日の日記です。




同人誌即売会がピンチ!
以下、3月19日のみやわき先生のmixi日記より抜粋〜
 15日、マイミク間の情報で、
東京都の「青少年育成条例の改正案」が
問題になり、
漫画家達に動員がかかって
ゆうじんという友人と行って来た。
(ややこしい)




意見報告集会は
都庁の会議室で定員100名と云う事で
30分前に着いたが
有に100人を超す人が詰めかけていた。

入り口近くにマイミクのゴロさんがいたので、
「来たよ」って挨拶したら、
開場になって、
そのままの順番で少ない席に座れる事になった。(笑)




定刻になると一般の人も含めた
定員の倍以上の人たちが詰めかけていて、
立ち見の人のスペースを作る為に
一度 椅子とテーブルを前に移動させたが
とても間に合わず、再度移動して、
テーブル間の通路や前列の対面スペースの床にまで
座ってもらって、始まった。

意見報告をする側に、
代表の藤本由佳里、呉智英、里中満智子、山口貴士、永井豪、
竹宮恵子、斉藤なずな(ワシャなずなフアンなのだよ)
森川嘉一郎、等の各氏が並んだ。




この問題に対する各氏の発言は、
各立場が色濃く表れていて、
「創作上の問題」「文化的見地」「法律的問題」
「経済的問題」等が述べられた。

その中で、弁護士の山口貴士
(コミケのボランティアで誘動員をやって居られる)が、
この問題のルーツを語ってくれた。
何の事はない、
「外圧」だったのだ。




アメリカ側の要人に、
日本の国会議員が呼ばれて、
「日本の幼児ポルノを規制しろ」と要請が有り
国に働きかけたがたいして効果が上がらず、
(政権も変わっちゃったし)
東京都に、はたらきかける事になったと云うワケ、
(何しろ名だたる出版社は都内に有るし、
我らがオタクの聖地、ビックサイトも都の物だ)

要するにアメリカ側の要請であり、
日本側から起きた問題提起ではないが、
日本の問題として
都条令を素早く改正して望みを果たそう、ってワケ、




「非実在青少年対する規制」なんて、
どうも日本の実状に合わない違和感は
「外圧」の所為だったのだ。




日本の捕鯨船にぶつかってくる連中と
大して変わらんのや、

「大陸棚条約」や「捕鯨禁止」は
牛を食わす為の食料市場操作で、
動物愛護の仮面をかぶっているのはバレバレなのに
またゾロコレか、

戦後は「小麦市場」の拡張を狙って、
NHKの御料理番組までGHQの見張りが着いて、
日本中に宣伝カーまわったが、
今度は「コミック市場」なのかい。




戦争には
「兵器戦」「経済戦」「文化戦」の三種類が有るが、
「兵器戦」では主要都市は焼野原になっているのに、
原爆を2発も落とされてボロ負け。
「経済戦」はドルショック、と
アメリカ国債をわんさと背負わされてボロ負け。




「文化戦」が最後の総仕上げになるのだが、
衣、食、住、と九割がたケリがついた所で、
想定外のコミック文化発生!
(商品である以上経済戦にもつながっている)

「和を持って尊し」とする日本側に
アニメを含めたコミック文化の世界的な広がりを
「文化戦」を戦っていると云う認識はない様だが、
他国がそう思っているとは限らない。
 




数年前、
友人のピンチヒッターで、
中国の美術学校で漫画を教える事になった。

「なんでこんな事になっているのか?」と
中国側の事情を聞いて見ると、

これ以上日本の漫画に浸蝕されたら、
イデオロギーにまで影響を与えかねない危機になるので、
防衛のため、自国でのアニメ、漫画の制作者を
養成が急務となり、
北京の国立大学にアニメ制作を前提にした「漫動科」を設立した。

それっ国立に続け!てんで、
各地の美術学校でも「漫動科」を作ったが、
先生の年配に当たる人は
日本の漫画を読んだ事もない様な有様だが、
生徒の年代はドップリ読んでいて漫画家志望の熱気も
かなりな迫力!
しかし、生徒は居ても先生が不足、
まわり回ってこっちにお鉢がまわって来たと云う訳で
自国の文化を防衛する為に、
他国人を雇わなきゃならないという
切ない事情だった。

集会で、
かって世界を席巻していたアメリカンコミックが
規制に依って衰退し、
韓国でも規制に因って
「日本の漫画に30年おくれた」(永井豪さん)と云う
韓国側の発言が有り
(すでに規制→衰退の裏付けは取れているのネ)
図らずもこの問題の文化戦としての側面が露呈していた。




アメリカ側は、
「児童ポルノ禁止」と云う
モラルとしては誰も逆らえない様な名目で
文化戦(商品である以経済戦でもあるが)に勝つ作戦に出た訳で
実に巧妙である。

父権が低下し、
コマーシャルでは犬にまでなってしまった日本に対し、
「児童ポルノ規制」と云うメーキャップで
母性愛に訴える訳だから、
この作戦の成功率はかなり高いと思える。
(オレオレ詐欺系ネ)

余談だけど、
父権の低下をもくろんだアメリカ漫画「ブロンディ」が
最初に連載されたのは「朝日新聞」で
キリスト教徒の長谷川町子がその跡を継いだ。

(キリスト教が国教のアメリカに宗教的に親米なのに、
軍国漫画「のらくろ」の作者田河水泡の弟子とは何たる皮肉)
マスオさんのDNAはアメリカの
戦後日本の占領政策なのね〜。

ゲストの呉智英さん(漫画評論もしているが、
論語セミナーの主催者でもある)が、
この問題を文化面で取り上げ、
美意識がモラルとの整合性を持つとは限らない事を
井原西鶴の作品「好色一代男」を例に語られていた。

いかに古典的文化遺産とはいえ、
6歳の少年が、大人の女性を脅かして
エッチするなんてのは、
改正条令では完全にアウトなワケ。




先日、
ショタ系の同人誌即売会で
売り子を手伝っていたら、
お隣のブースで「修道士ペドフェチ」と云う方が、
「日本のBL古典」を売っていて、
名刺代わりに売り物の作品集をくれた。

その中で、これまたアウト物の極め付き古典文化遺産
「弘児聖教秘伝」ってのがあった。

この作者は源信(942〜1017別名「恵心僧都」
と呼ばれるどえらい高僧)だと伝えられていて、
真偽の程は不明なれど、
写本(14世紀頃の物)は比叡山延暦寺の
「門外不出の機密文書」なっていたが
昭和になって、
天台宗の僧侶で小説家かつ国会議員でもあった
今東光(1898〜1977)が
延暦寺での修業時代に偶然「弘児聖教秘伝」を見つけ
再筆写したのを下敷きに
「稚児」と云う耽美小説を発表(昭和21年)したと
紹介文あり、
その内容たるや、ぶっ飛びもの!!

女色を禁じられている坊さんが、
稚児を代用品にする際、
大人の男性器を受け入れられる様にする為に
肛門を大きくする術や行為の
マナーが書いてあったりする。
(「好色一代男」どころか「レイプマン」も真っ青!!)

おかげで、降りるべきバス停を乗り過ごしてしまった。(苦笑)




さて、
本論のテーマである
「同人誌即売会のピンチ」に入ろう、

集会で一番圧巻に感じたのは
森川嘉一郎さんの
同人誌界に通低した意見表明だった。

氏は文化庁に知恵を貸している様な存在であるが、
スクリーン(写真1、2、3、参照)を使って
ビジュアル問題をビジュアルで語るなんてのはさすがで、
現在の漫画界が、
どう云う構造になっているかを説明し、
日本のマンガ文化が「底辺の広さ」で成り立っている事実を
解説し、
その底辺の広さが「同人誌即売会」に有る事を
実に判りやすく話して下さった。(ありがとうッ!!)

また、文化賞が主催するメディア文化賞の
各受賞者がかって描いたエロ漫画を
スクリーン上で具体的に見せて、
児童ポルノ規制派と反対派と云う単純な二元論では
かたずけられる様な事ではないと云う実状を
見事な説得力で表現された。

同人誌即売会がピンチなのに
米沢さんがこの場に居ない事を
悔しく、切なく、淋しく思っていたが、
森川さんが見事にその代役を果たしてくれた様に思えて、
嬉しかった!(もう、泣きそう、)




先年、
コミケが日本文化として、
ベネチュアに招聘された事があり、
凱旋イベントとして、
「24時間コミケ」をやった。(眠かった〜)

ベネチュアの映画祭は報道され
よく知られる所であるが、
その実は映画だけに限らず、
各国の文化を紹介する催しで
各国の建築なども文化として紹介されるのだが
 現在、日本の建築文化は
紹介に値する独自性を失いつつ有り、
コミケはその穴を埋めるような格好で
日本の独自の文化として選ばれ、
建築館で展示されたと聞く。

スタートから30年余を擁して、
コミケ(同人に即売会)は
日本文化の顔として、
国際舞台に紹介されるまでに至ったが、
都の「青少年育成条令」が改悪されると、
都下にあるビックサイトの
同人誌即売会開催は勿論の事
都下のあらゆる同人誌即売会は
打撃を受ける事になる。

同人誌即売会の開会時と閉会時に、
売り子も買い子もボランティアも
一斉に拍手する時の様に、
一致団結して事に当たる必要が
有ると思う。
以上です。




警察も裁判所も信用できない!松文館事件
服部です。
この問題への意見を自分なりに色々調べてて、反対の人も中にも「この条例が青少年の為に正しく使われるなら賛成」という意見も見かけました。
確かに現在、青少年にとって行きすぎな部分は山ほどあるんですが、それでも到底賛成なんてできないっす。





『松文館わいせつコミック裁判』という裁判がありました。

http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun-index.html


上のサイトに経緯は全て書かれていますが、事の発端は政治家・平沢勝栄のへの「高校生の息子が成人向け漫画を読んでいる、なんとかして欲しい」というしょうもない手紙。

そんなのよくある話かと思いきや、ところがどっこいあっという間に捜査が始まり…、あっという間に逮捕。
150万円の罰金が確定。



それは何故か?
そう、平沢勝栄は警視庁OBだったのです。




しかも何よりひどい話がこのエロ漫画が「特に大きく違反していたわけではない」という点。そうなんです。

要は言いだしっぺが平沢勝栄という政治家であり、そして警視庁OBだったという事。
もう日本に正義は機能してないんじゃないかという事例です。
例え、基準が曖昧でもとりあえずルールさえ作っとけば簡単に漫画家なんて逮捕できてしまうという事です。




この辺の事はBUBUKAやナックルズで読んだ程度の僕より詳しい人はいっぱいいると思うのでお近くのエロい人に聞いてみて下さい。

とにかく今回のこういった条例が作られた所で、それが国であれ都であれ警察であれ公共の正義の為にのみ正しく使われる根拠なんて無いぞ!
とう事ではないでしょうかね。




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