こんにちは。三国志とテクノの融合を試みる唯一の男、おもしろ三国志です。
普段は音楽で三国志（とテクノ）の魅力を語る男ですが、ここでは好き放題書いていいとの事でしたので、色々やらかしてしまいたいと思います。

第９回のテーマは「今日のオススメ三国志マンガ」の第２弾。
中島三千恒先生の「魏志 文帝紀　建安マエストロ！」をご紹介いたします。
メディアファクトリーより現在１巻が出ています。


中島三千恒先生といえば、完全に呉の視点から赤壁の戦いを描いた「赤壁ストライブ」がありますが、この「建安マエストロ！」はさらにいいところに目をつけた作品です。
主人公は曹操の長子、曹丕。（正確には曹丕は三男だ！っていうツッコミはしないでね。物語中では長男次男は既に死んでいるので）

曹操を中心に描かれた大人気作「蒼天航路」では、曹操・曹丕・曹植と建安七子と呼ばれる人々によって文学が生まれた瞬間を描いたり、曹操や曹植が詩を詠うシーンがちょっと出たりしました。
しかし、曹丕が詠うシーンは出てこなかったように記憶しています（間違ってたらスイマセン）。


そんな曹丕と曹丕の詩が気になっている人はいっぱいいるのではないでしょうか？



※ほんのちょっとだけ「魏志 文帝紀　建安マエストロ！」のネタバレがありますのでご注意を。
※この漫画を紹介したい！という気持ちでこのコラムを書いていますが、私おもしろ三国志は、そんなに当時の漢詩に詳しくありません。ごめんなちゃい。

曹丕はこの漫画の冒頭で、高らかに言います。
「文章は経国の大業である」と。
これは曹丕の実際の著書「典論」からの出典ですが、漫画スタートいきなりしょっぱなから、「典論」です。
「典論」を知らなければ「ふーん」と読み飛ばす事が出来ますが、私は「もしや、この作品、絵とはうらはらにハードル高いのでは？」と一瞬ひるみました。

しかし次のページをめくると、曹丕は葡萄を食いながら、葡萄を讃える詩を書いています。
ちょっと安心しました。

その後も、鍾繇（しょうよう）の持っている宝玉を欲しがったり、ヨーグルトを食って「うまい！」と叫んだりで、さらに安心。

この漫画の曹丕は、思った事をそのままに、生き生きと詩にしています。
その内容は全く小難しい内容ではなく、上述したとおり「葡萄がうまい」や「玉が美しい」。
本当にこんな詩を書いていたのでしょうか？（すいません、私そこまで詳しくなくて・・曹丕マニアの方に教えて欲しいくらいです）

とにかく私はそんな曹丕にハマっていきました。

さて、「建安マエストロ！」の物語の主軸は、曹丕vs曹植です。
仲の良かった兄弟が「跡継ぎ問題」という政争の渦に否応なしに巻き込まれて行きます。
そんなわけで曹丕や曹植を取り巻く人物も大活躍。

曹丕陣営では、賈詡（かく）・陳羣・司馬懿。
曹植陣営では楊脩が登場します。

曹丕の腹心といえば司馬懿。
彼がこの政争を動かしていくのですが、実は賈詡が結構面白い位置にいます。
賈詡はこの政争に勝利（＝曹丕を後継者にする）する為に、司馬懿を曹丕の元に送り込みます。対曹植陣営の急先鋒として。
そして、賈詡が思い描く事を、すべて司馬懿に押し付けます。
司馬懿は嫌々、賈詡の言うとおりに行動します。
決して表に出ずに、周到に暗躍する賈詡・・・
すごく、賈詡らしいです。


ちなみに女性キャラも活躍します。従来の三国志作品では珍しい人々です。
曹丕の奥さんである甄氏。
陳羣の奥さん（荀�ｹの娘）。
清河長公主（曹操の長女）。
清河長公主の結婚をめぐるエピソードは見事です。

さて、三国志で一番有名な詩といえばなんでしょう？
詩ではないけど、詩のような上奏文、諸葛亮の「出師の表」は超有名ですね。

その次は曹操の短歌行？曹植の七歩の詩？諸葛亮が唄ってた梁甫の吟？
はたまた、禰衡が曹操をディスったアレ？・・も詩じゃないか。

三国志には名台詞や歴史に残る故事が色々あるけれど、この作品に彩りを加えているのはやはり、曹丕や曹植の詩です。

曹植ファンや張遼ファンなら知らぬものはいない「白馬篇」が登場します。
曹植の詩の中では最も有名な部類らしいです。
でも、普通に三国志読んでる位だったら、知らなくて当然。
そんな我々の知識欲も満たしてくれる素晴らしい詩の数々が今後も出てくるでしょう。

第２巻は今年の秋頃らしいです。
期待して待ちましょう！

そしてコレを機に、建安文学にどっぷり浸かってみよう！
三国志の中でもかなりディープな世界です！
ここまでくるともはや研究！








さて、次回の第１０回で、この司馬仲達FxxK OFF！は一旦、最終回を迎えます！
最後までよろしくね！

・魏志 文帝紀 建安マエストロ！ 1