大衆酒場ベスト1000
第19回「焼とり よね田(西荻窪)/本マグロのノド肉串焼き」
吉祥寺と荻窪の間の、あの駅へゴー!
周知の事実ですけど、中央線って濃いですよね。

新宿から出発したとして、いきなり現れるのが大久保ですよ?
続くのがなんと中野!高円寺!阿佐ヶ谷!ですよ?
で、荻窪がありまして、とどめとばかりに吉祥寺ですよ!?

オイオイ正気かよ…と言いたくなるくらい、あらためて考えて見ると濃い路線ですよね〜。

…ところで、今2つほど駅をすっ飛ばしたのに気付いた方はいますか?
気付いたのはきっとそこに住んでる人だけでしょう。

そう、“東中野”と“西荻窪”です。

僕の主観ですが、この2つの駅は他と比べてなんとなーく影が薄い。
これはおそらく“東”と“西”の仕業だと思います。
中野があった上での東中野、荻窪があった上での西荻窪。
これではおのずと中野や荻窪の影に隠れてしまうってもんです。

というわけで僕、これまでどうしても高円寺、阿佐ヶ谷、吉祥寺、それから大久保とか、そのあたりで飲む事が多くなってしまってたんですよね。
しかし!東中野は駅の周りにあんまり店がないから(※)あれとして、西荻窪は、実は名のある名店がひしめく居酒屋激選区。
「西荻を見ずして大衆酒場を語るなかれ」という格言を僕が今作ったとして、誰も違和感を抱かないほどの街なのです!

こりゃー攻めなきゃいかんだろうという事で、こないだのお休みの夕方、ちょっくら繰り出して来ましたよ。




とある夕暮れ、西荻の横丁
とある夕暮れ、西荻の横丁




どうです?たまんない雰囲気じゃないっすか?
こじんまりとした路地に居酒屋が並び、しかも外飲み出来る店が異常に多い!
高円寺や阿佐ヶ谷の雑多で胡散臭いディープさに負けてないというか、むしろ個人的には一番好きな街並かも。




とある夕暮れ、西荻の横丁 2
とある夕暮れ、西荻の横丁 2




どうでもいいけどおっさん青いな!
イヤ、かっこいいっす。


さて、1件目に入ったのが駅前の横丁地帯にある割と有名な某店。
安くてお味もなかなか、年季の入った雰囲気もいいんですが、いかんせん接客が微妙でしたねー。
「ここはこういう店だから」と意思疎通しあってる常連さんと店員さんにとってはいいお店なんでしょうが、オーダーが通ってんだか通ってないんだか分かんない接客は一見の我々には厳しいものがあります。
というわけで、残念ながら僕のベスト1000にはランク外の1039位。
厳しいようですが、接客を見直せばベスト1000入りも夢じゃないので、ファイト!

1件目を出て夕暮れの街をブラブラします。
「天気もいいし、なんか開放感のある席がいいな〜」なんてキョロキョロしてたら、1件のお店が目に止まりました。




あの2階で飲みてぇ…!
あの2階で飲みてぇ…!




※すいません、この写真だけ後から撮ったんで、時系列に沿ってなくて真っ暗ですけど気にしないで下さい。

「焼とり よね田」さんというお店で、といあえず1階席はずいぶん賑わってますね。
立ち止まって「2階あるのかねぇ?」なんて話してると、すぐに元気な店員さんがこちらに気付き「お2階大丈夫ですよ〜!」と声をかけてくれました。
先程の反動もあってか、この感じの良さにつられて入ってみる事にします。

そしたら…




同行者には一応モザイク
同行者には一応モザイク




これっすよ!
全開の窓からは夕方の少し涼しくなり始めた風がよく通り、ふと外を見ればこじんまりとした商店街の風景。
シチュエーション的には完璧ですね。

あらためてビールを頼み、程なくしてお通しが到着します。




マグロッ!
マグロッ!




小皿ではなく、人数分が1皿に乗ってやって来ました。
すぐにつまめるし、見た目にも華があっていいですよね。
で、ご覧の通り、やたらうまそうです。
ていうか、うまいです。
日替わりで原産地表示もあり(すいません、どこ産かは忘れた)、もうバッチリです。

賢明な読者の皆様なら、もう気付きましたよね?

そう、この店、“当たり”です。

そういう事ならガンガン行こうぜ!
と、早速頼んだ鳥わさでさらに「もういいよ!」ってくらい確信しました。




鳥わさ/450円
鳥わさ/450円




いやいやいや、なにこの量!?
量も去る事ながら、これがまたネットリとしつつも新鮮で、長ネギと玉葱のダブル薬味と共に口に運ぶともう、さっぱりしてるのに濃厚かつ複雑、たまんないっす。
1切れがでかいので1口で口いっぱいになった所をモゴモゴやって、なんとか飲み込んだのち、ビールでリセットという、この流れが至福すぎます。

いやだから、この店、“当たり”ですってば!

他、脂たっぷりの牛テール網焼きや、うまいに決まってる牛ハラミ網焼き、なかなか見ない厚切りのガツ刺しなど、何を頼んでも「この値段でこの量!?」っつー気前の良さでドサッと皿に盛られて出て来て、申し分なくうまいです。
はっきり言って、幸せです。

もう十分に満足感を味わわせてもらったんですが、実は一番気になるメニューがまだ残ってるんですよね。
それが“本マグロのノド肉串焼き”です。
このメニューのみ値段が書いてなくて「※近くの店員にお尋ね下さい」とあります。
何やらただ事ならぬメニューですよね。
しかし酒も入って気分最高になっていた我々は、近くの店員に尋ねる事もせず、「すいませ〜ん、これ4つ!」といきなりオーダーするという暴挙に出ました。
めっちゃ貴重で、1本1万円とか言われたらどうすんだ?って話ですが、よね田さんがそんな無茶なメニュー出すわけないというのはすでに知ってますからね。
これぞ信頼関係(一方通行)ってやつです。

とにかく、頼んで数分、出て来たのがこちら!




本マグロのノド肉串焼き/時価
本マグロのノド肉串焼き/時価




…もう勘弁だぜ。
串1本じゃ支え切れず、3本ずつ刺さってるじゃねぇかよぉ!
鼻孔をくすぐるこのマグロと醤油の焦げた匂い、どこまで日本人の遺伝子に訴えかけりゃ気が済むんだよぉ!

て感じ。
とにかくでかい!
小5男子のこぶしくらいあるんじゃないか?っていうマグロのノド肉が、2個ずつささってます。
脂もめっちゃくちゃ乗ってて、見た目、香り、寄ってたかって人間の理性を失わせにかかって来ます。

マグロって、ノドとかカマとかシッポの肉とか、言い方悪いすけど寿司屋で身を取った残りみたいな部分を料理して食べるのが、刺身とはまた違った魅力があっていいんですよね。
うん、つーか、個人的にはこっちの方が惹かれるかも。
モツ系にも通じる求心力というんでしょうか。

で、これに思い切ってかぶりつくともうね、口中、隙間ゼロ!
旨味が凝縮された脂と、マグロの身まみれ!
窒息しないように食べながらも鼻で息をしますから、その度にたまらない香りが抜けて行きます。
これをやっとの思いで飲み込んでから頂くチューハイのうまさよ!
1カケのレモンの爽やかさよ!
ヤベ−!

あ、ちなみにこの串、後で確認した所この日は1本350円くらいでした。
その質、ボリュームからすると、明らかに安い!
しかも1人1本は明らかに多いんで、2人で1本くらいがちょうどいいでしょうね。


以上、今まであまり来なかった事を大後悔した、西荻体験でした。
追って報告します!




(※)東中野には、駅のホームから見える渋〜い横丁「ムーンロード」の中に、大変お世話になっているTシャツブランド「ハードコアチョコレート」のMUNEさんが営むバー「バレンタイン」があります。物凄く居心地がよく、ビックリするくらいの有名人やディープでおもしろいお客さんとすぐに仲良くなれる大名店ですよ!




関連サイト
焼とりよね田 - 西荻窪/焼鳥 [食べログ]
BAR VALENTINE - バレンタイン-




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