大衆酒場ベスト1000
第20回「番番(新宿)/豚ばら串」
大都会のオアシス!街に馴染めないはみ出し者たちの拠り所!
新宿とか渋谷みたいな、いわゆるとんでもない大都会で飲む時、ここだ!っていうお店って実はあんまり無いんですよね。
ああいう街ってとにかく色んな年代、職業、出身の人が入り乱れているので、自然と最大公約数的、つまりチェーン店的なお店が増えてしまって、なかなか独自の色があるお店が成立しないんだと思います。

例えば高円寺なんかだったら「あそこもいいけどあそこもいいな、今日は魚が食いたいからあそこにするか」みたいに悩むのがとっても楽しいんですが、これが週末の歌舞伎町なんかになるともう地獄で、「飲めればいい、座れればいい」という判断基準だけで、どこに行っても変わんないようなチェーン店をあちこち巡り、やっと辿り着いた人数分のスペースに収まる、なんて事にもなるわけです。

しかし今回はそんな新宿、歌舞伎町のど真ん中にあって非常に信頼出来る、由緒正しき大衆酒場を紹介したいと思います。


名前を「番番」さんといいます。
東口を出て歌舞伎町方面に向かうとでっかいドン・キホーテがありますね。
その並びにあるファミリーマートの角から“さくら通り”に入ってすぐの左手、ひっそりと番番の看板があると思います。

お店があるのは地下1階。
上から覗き込むとまっすぐな階段の下に待ち合い用の椅子が2つほど見えるだけで、中の様子は分かりません。
この時点で一見さんにはちょっと入りにくい雰囲気なんですよね。
この立地にありながら知る人ぞ知るというか、決してコンパだサークルの飲み会だっていう浮かれ学生の皆様なんかが辿り着くお店ではない感じが、逆に頼もしいのです。

で、この階段を降りて戸を開けてみましょう。
一気に異世界にトリップ出来ます!

店内は外から想像するより広めなんですが、全てカウンター席!
調理場をぐるりと囲むように“C”の字を描いてカウンターが設置され、席数30〜40はあるんじゃないかと思われます。
もちろん席と席との間、背中と壁との間はそんなに広くないので、荷物は頭上の棚に乗せましょう。
そしておもむろに店内を見回すと、もう全てが茶色!
もちろん掃除はきちんと行き届いて、清潔感はバッチリですよ。
しかし中央の焼き場ではモクモクと炭火で焼き鳥が焼かれ、閉塞された地下の一室をくまなく燻していますので、長年の詰み重ねによって店内はたまんない色合いにスモークされてます。
その場に自分が存在しているだけで楽しいというか、嬉しいというか、まず雰囲気はパーフェクトです。

調理場には若手から超ベテラン風まで男の店員さんが4名ほど。
皆テキパキと仕事をしており見ているだけで惚れ惚れしますね。
しかしパッと見恐ろしいのが大将。
常に鋭い目つきで店内を睨み回しているので、「ありゃ、こりゃあ僕みたいな若造が歓迎されていない、客を選ぶタイプのお店かな?」なんて思ってたら、飲み物が無くなる絶妙のタイミングで「次何にしましょう?」なんて声をかけてくれて「あーただ顔が恐い人だ」と安心したので皆様も心配しないで下さいね。

肝心のメニューの方ですが、これがもう“ザ・大衆酒場”といった感じで、焼き鳥が1串100円から一通り、刺し系は鳥たたき(450円)レバ刺し(400円)馬刺し(700円)など。
串類と同様炭火で焼いて出してくれる厚揚げ(値段忘れ)や、注文が来てから鉄の小鍋に絹豆腐を入れ、その上に煮込みをかけてぐつぐつと火を通す煮込み豆腐(450円)を始めとした、居酒屋の定番メニューたちも嬉しい限りです。




厚揚げ!
厚揚げ!




煮込み豆腐!
煮込み豆腐!




焼き鳥各種!
焼き鳥各種!




さらに嬉しい事にチューハイは250円
これはかなりのもんでしょう!
最近周りに乱立しだした激安居酒屋だって280円均一がいいとこですが、我関せずといった余裕でずっと前からこの値段を守り続けて来ている所が本当、頼もしいですよね。
ちなみにウーロンハイなどのハイ系は300円生ビールは500円となっております。

なんていうのかな、全てが決して衝撃的ってわけでない安心の味なんですが、このおいしさが歌舞伎町という立地において非常に嬉しいというかありがたいというか、田舎道にポツンと存在するコンビニ的なオアシス感を醸し出してます。

それでは最後におすすめの一品を。

僕はやきとんの中でも特に豚ばらには目がないんですが、こちらの豚ばら、人が頼んだのが焼かれてるのを見て、慌てて頼みましたよ!

だってこれっすもん!




豚ばら/200円(1串)
豚ばら/200円(1串)




横のレモンとの対比で大きさが伝わるかな。
いや、伝わらないだろうな…。
いつも目の前にある現物の迫力を写真に納められない事に、非常に歯痒い思いをしてるんですよね。

とにかく!
厚みがすっごい!
んで、幅もものすっごい!
なんかもう、ステーキ、豚肉のステーキになぜか串が1本刺してある感じ!

もちろん焼き加減、塩加減は絶妙で、ただただ脂っこいだけじゃなく見た目よりもさっぱりとしております。
だからこそ引き立つ豚肉の旨味!

豚肉って、本当にうまいですよね、心から。
あれってなんなんだろう?
牛も鶏も、ラムも鴨も、そりゃあ心からうまいけど、あの豚肉のうまさ!
なんかこう、味!
味なんだよなぁ、味が最高なんだよなぁ…。

と、全然表現出来てないというか、最後は“味が最高”という、食べ物の表現における禁句みたいな事を言い出してしまいましたが、とにかく豚肉本来の味と、脂の旨味、これが絶妙に楽しめるという事において、最高の一品でした。


というわけで、まさに知る人ぞ知る、隠れ家的名店と言っていい番番さん。
いつものチェーン店もいいですが、たまにはこんなお店もいかがでしょうか!?

あ、知る人ぞ知ると言っても、知ってる人は知ってるので、いつも割と混んでるんで早め狙いが吉ですー。

では。




関連サイト
番番 ばんばん - 新宿/焼鳥 [食べログ]




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