はぐれDJ道
第8回「ワープハウスと元ネタ」
新入生の方達へ
イッツ・パーティ・タイム。DJイオだ。4月になって楽しいパーティが目白押し、新社会人の方はげっそりし、新学生は新歓で飲みすぎて失神しておられると思う。新失職の方は昨今のハローワークの求人の無さに衝撃を受けて頂きたい。

さて、私がクラブ通いを始めた1998年当時に、東京、新宿リキッドルームで開催されていた「X-TRA」というパーティがあった。一番熱心に毎月通いつめ、そこで酒を知り、女を知り、友人を得、人生で必要な物全てを学んだ。
DJ YO*C、TOMOがレジデントを努めていたので当時、雑誌「LOUD」を読んでいた方は一度ぐらいはパーティ名を目にした、もしくは遊びに行った方も多いのではないか。

最近ドミューンとかそういうのでダンス・ミュージックを知った若者には馴染みが無いと思うが、このパーティは一言で括ると「ワープハウス(WARP HOUSE)」というジャンル名で知名度が高い。詳細はググって頂きたいが一応以下引用する。




ワープハウス
ワープハウスの項目がWikipediaになかったので以下、ハード・ハウス - Wikipediaより引用
ハード・ハウスは、数々の付随的な音楽ジャンルを発生させたことも特筆すべきであろう。主な音楽ジャンルに140bpm以上のテンポと明るいメロディラインを特徴とし、ロンドンの人気パーティ『TRADE』(TRADEは2008年3月、会場であるクラブTURNMILLSの都市開発による閉鎖にともない17年の歴史に幕を閉じた)、そのTRADEでレジデントDJを勤めていたトニー・デ・ヴィット、及びピート・ウォードマン、マルコム・ダフィー等が推進したワープ・ハウス(これはトニー・デ・ヴィットが日本のクラブ雑誌のインタビューで、"あなた独特のサウンドを何と称すればよいか"、という質問に対して答えたのがその由来である)、ハードコア・テクノの隆盛やレイヴ・カルチャーに対するカウンタームーヴとして発生し、グルーヴ感やダブ感を強調したプログレッシブ・ハウスを筆頭に、イタロ・ハウスを意識した歌謡曲的なメロディラインのハンド・バッグと融合したハード・バッグ、レイヴやトランスの特徴を取り入れて、テンポをさらに加速させたニュー・エナジー(NuNRG、NRG)などが上げられる。
このうち、ワープ・ハウスはUKハード・ハウスと称されることが非常に多い。これは、当時のアメリカ・ニューヨークを中心とした従来のハード・ハウスがトライバルな方向性を特徴としていたのに対し、よりハードでかつアップリフティングな方向性を志向していたため、従来のものとの差別化・差異化を図る目的があったものと思われる。
以上。




皆様カタカナ文字が多くてスッ飛ばした事であると思う。

色んな人が直して直してよくわからなくなったこんなややこしい文章私も読みたくない。
定義は諸説あるので多少スルーさせて頂くとして、本日サイバー・パトロールをしていた所、音源をガイドしていたサイトなどが少なかったので、今回は当時流行っていた曲の紹介を行いたい。
それだけではつまらないので、元ネタがある曲に関してはその元ネタまで遡っていきたいと思う。

取り上げてないアーティストやNU-NRG、HARDTECHNOなど意図的に省いてあるのもあるが、それはまた今度。

ちなみに当時ワープハウス周辺だと「X-TRA」「CLUB LOVELY」「CROSS OVER」というパーティが三国志のように争っていたが私はX-TRA派であった。

当時のフライヤー




当時のフライヤー




当時のフライヤー




当時のフライヤー




以下、パーティの開始時間になぞらえてプレイバックしていきたい。




パーティ開始:24:00
ON THE TOP OF THE WORLD / DIVA SURPRISE (THE SHARP BOYS REMIX)




まずはパーティ序盤によくかかっていたSHARP BOYS。リミックスを量産、金太郎飴のごとく似ているぶっといビート(でも真似できない)で多くのファンを生み出した、有名なゲイのお兄さん二人組。現在はテックハウスを作っている。


元ネタは西城秀樹…ではなく愉快なゲイのお兄さん6人組。

Y.M.C.A. / Village People(YouTube)
※リクエストによる埋め込み無効




01:00
Keep On Dancin'(Let's Go) / Perpetual Motion




引き続きPOSITIVAから。
パーカッシブなビートやサビが特徴的。ネタの組み合わせが絶妙な曲だった。

元ネタ




サビのフレーズはHere I Go / DOPからのモロ使い。




ビートはWATCH ME NOW / GROOVE YARDから。
この曲にも更に元ネタがあるがややこしくなるので省略。




今聴くとほぼマッシュアップに近い組み合わせだが、98年当時はそのような単語がなかった。




01:30
Get Up! Go Insane! (Rock 'N' Roll Mix) / Stretch 'N' Vern presents Maddog




四つ打ちとブレイクビーツの中間のノリが心地よく、いわゆるビッグビート等のパーティでもよくかかっていたトラック。FATBOY SLIMもリミックスに参加していたので記憶にある方も多いと思う。曲が変になっちゃったのかと思う真ん中の部分は誰しもが印象に残る所であろう。

そんな印象的な元ネタは




Jump Around / House Of pain
HIPHOP好きの方にはおなじみかと思う。




02:00
FUNKY GROOVE / UNTIDY DUBS VOLME ONE




ワープハウス/ハードハウスを語るには避けては通れないゴミ箱レーベル(イラストが)、TIDY TRAX。
パーカッシブなビート、シンプルなベースと声のワンループ、フィルターだけでこれだけのマジックを作れる曲はそうそう無いと思う。元ネタはかなり有名だと思うが私は未だに知らないのでご存知の方がいたらご一報を。




02:30
Inferno (Fired Up Mix) / SOUVLAKI




色々と変名がある男なのだが、SOUVLAKI=SCORCCiO=JT Playaz=MARK SUMMERS。
とにかくディスコでちゃらいヒップハウスを作らせたら右に出る人はいない。
あまりのアホ格好よさに、私は自分でリミックスも勝手に作りmixiコミュでは管理人を務めている。


元ネタはディスコ野郎ならおなじみの




Relight my fire / Dan Hartman




03:00
Camisra / Let me Show you




ワープを語る上では避けて通れない男、TALL PAUL(CAMISRA)。この人のトラックも半を押したように同じビートが多かったが当時大ヒットだった。DJ TOMOがGIANT TOMO名義で曲を出したのもTALL PAUL名義にインスパイアされての事だったと記憶している。


元ネタ




Sandy B / Make The World Go Round




聴けばわかるようにこんな簡単なベースラインもほぼモロパクリ。だけどそれをあえてやっているのも打ち込みダンスミュージックの面白い所でもある。




04:00
Sundance / Sundance




脂ぎった曲で踊りつかれたキッズ達は明け方にこの曲がかかると酔い覚ましの水を飲んだかのごとくスッキリとするのだった。ユニット名がそのまま曲名というのもある意味すごい事である。


元ネタはおじさんテクノ野郎にはおなじみ




Smokebelch II / The SABRES OF PARADICE II




超大御所、Andrew Weatherallのユニット。




04:30
Flowtation / Vincent De Moor




当時Ferry Corstenより一足先にダッチトランスでヒットを出していたVincent De Moor。
このオリジナルには歌が入っていなかったが、歌ありの(radio mix)の方が比較的よくかかっていた。




05:00〜終了
Inspiration / Strike




パーティの終わりにはほぼ80%以上の降水確率でこの曲がかかっていた。
朝5時以外の時間に試しにインスピレーションをかけると、ワープ好きに刺される事間違いなし。一旦終わった、と思ってまた曲が始まる所も憎い爽やかミラーボールトラック。




X-TRAとっておきの曲
X-TRAのYO*C、TOMOはそれぞれリリースも行い、当時のワープハウスのシーンの一翼を担っていた。そんな彼らの曲がかかれば当然盛り上がらざるを得ないわけで。




BEAT PER LOVE / YO-C+B.U.S. Featuring Kaori




YO*C作の決め曲!デスなリフとポップさ、歌にハンドクラップまで入ってまさにハッピー系(と当時言われていた)。


元ネタはRAVEっ子ならおなじみ




ANASTHASIA / T99!!




FEEVA LA REVOLUTION / GIANT TOMO




そしてこちらはDJ TOMOのGIANT TOMO名義のこの曲。
元ネタはサンプリングCDからの声からのようで、以下の曲でも同時期ぐらいに使われていた。後々はDRAGON ASHでも使われていたボイスサンプルだ。

元ネタ




Tin Star - Viva




その他にもHeaven/Yo-C+Tomo feat.Rieなど、映画「リング」のテーマ「feels like "HEAVEN"」の原曲となった曲も存在するのだが、今回は「FEEVA LA REVOLUTION」押しで行きたいと思う。




以下、「日本文学盛衰史 / 高橋源一郎」より引用
「革命(レヴォルーション)」という言葉は、もともと天体用語であり、「天体の周期的な回転」を意味しています。それは自然の法則であり、人間の力の及ばぬ原理そのもののことでありました。
以上。




革命は繰り返すのだ。全てのダンスミュージックにもそれは当てはまる。

現在ワープハウスは拡散細分化し、SCOUSE HOUSE等のジャンルに流れの一部は受け継がれている。しかしこれから先、音色の流行り廃り、再評価、結合、様々な経過を経て、新たなムーブメントを起こす事もありうるのではないだろうか?

先日、知り合いのおじさんの話を聞いていたら、昔のクラブはもっと色々なジャンルの曲がかかっていたんだよ、という話でこれはいつの時代のおじさんも繰り返すものだなと思った。ビート・ゴーズ・オン。




※DJ YO*C、DJ TOMOの表記については基本的にフライヤーに準拠しています。アーティストの記載はレコードの表記に準拠しました。




関連サイト
Yo*C WEB SITE
DJ TOMO OFFICIAL WEBSITE
LOUD-ラウド-クラブ/DJ/パーティー/ロックの雑誌
Sharp Boys - MySpace
Village People - The Official Site
GROOVEYARD
[mixi] mark summers
Sony Music Online Japan : ファットボーイ・スリム
www.danhartman.com
Dragon Ash Official Website





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