大衆酒場ベスト1000
第32回「細雪(渋谷)/丸干しいわし」
震災後初の更新になります。よろしくお願いします。
この度の東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々に、心よりお悔みを申し上げます。
また、被災された皆様が1日でも早く安心して暮らせるようにお祈りすると共に、自分でも出来る限りの協力をさせて頂きたく思っております。









さてこの連載、僕が個人的に好きな居酒屋さんを紹介してくっていうのが主な内容なのですが、記事にするに当たっては、何度も行った事のあるお店でもなるべくもう一度足を運ぶようにしてるんですよね。
その方が情報が新鮮だし、臨場感も出そうじゃないですか。
ところが震災以降しばらくの間、僕がどこに行くにも利用している西武線の運行がなかなか安定せず、まぁそんな事は大した不便ではないのですが、ひとまず仕事を終えたら家に帰るのが大命題、ってくらいの若干イレギュラーな状況が続いてしまいまして、あんまり居酒屋さん自体に行けてなかったんですね。
というわけで前回は連載開始以来始めてのお休みを頂いてしまいました。
現在は節電の関係で多少運行本数が減っておりますが、すっかり電車の運行も安定しておりますので、再びガンガン居酒屋に足を運び、世のお金とお酒をグルグル回して行こうと思っておりますのでよろしくお願い致します。

今回は、連載32回目にしてなんと初登場の地“渋谷”のお店をご紹介したいと思います!

こんだけやって来て初登場、この事実だけ見ても、僕が渋谷という地にいかに縁がないかおわかりでしょう。
渋谷って人がやたら多くてごちゃごちゃしてるし、やれ服屋だカフェだって自分とはなんの関わりもないようなお店ばっかりな感じだし、要は全く行きたいとは思わない街なんすよね、ぶっちゃけ。
どうせ僕は池袋の西口あたりの薄汚れた大衆酒場で安焼酎でも舐めてる方がお似合いなんすよ。
だけど、渋谷は音楽の街でもあって、ライブやクラブイベントなんかで行かざるを得ない事も多いです。
そんな時僕のような場末者のオアシスとなるお店がそう“細雪(ささめゆき)”さんです!

こちらのお店は、僕が最も酒の飲み方に関してシンパシーと畏怖を感じ、また個人的にも大変仲良くさせて頂いているバンド“チミドロ”さんから教えて頂きました。

チミドロ曰く「見える人にしか見えない店」。

この“見える人にしか見えない店”についてですが、別にすっごい見つかりにくい場所にあるわけでも、やってるんだかやってないんだかわかんないような外見なわけでもなく、ごく普通に街なかに存在しているのに、何度もその前を通っているはずがある日「あれ?こんなとこにこんな店あったっけ?」って発見するようなお店、まるで異次元から突然出現したようなお店ってないですか?
街のグルーヴ、自分の精神状態、色んな物が噛み合った時に初めてその存在に気付いてしまうんですよね。
実際に見てもらったほうが早いかもしれません。今回の細雪、場所はこちらになります。




地図
地図




ほら、こんなに駅から近くて賑やかな界隈にあるでしょ。
この辺り、通った事ある人も多いですよね?
ではそんなみなさんに聞きましょう。
この場所に、こんな渋い店あったのって気付いてました?




芸術的なまでの店構え
芸術的なまでの店構え




「あれ?」って方も多いんじゃないでしょうか。
でもね、もうちょっと引きで見るとほら…




グーグルストリートビューより
グーグルストリートビューより




京王線の改札の真横にちゃ〜んと存在するんですね!
まぁ見つけちまえばこっちのもんです。
さっそく入ってみましょう!

入り口の自動ドアはぶっ壊れてますので、手動でこじ開けて下さい。
すきま風が入らないようにきちんと閉めるのもお忘れなく。
一気に渋谷とは思えない異次元な空間が広がります。

割と狭めな店内は早い時間から常連のおっさんたちで大賑わい。
お店を仕切るのは、いかにもといった風情の大将と女将さんです。
その他に1人、甲斐甲斐しく料理を運んだりお皿を上げ下げしたり、かと思うとテーブル席で酒を飲んだりしてる、なんともたまんない感じのおじさんがいますが、あれはたぶん常連さんですね。

僕は初めての時、うかつにも1人で行ってしまったため、お店の一番奥の常連さんがたむろする大テーブルに通されてしまいました。
ここで実に7人くらいの様々なおっさんと同席し「兄ちゃん若いのにこんな店来て珍しいな」から始まる、天国というか地獄というか、とにかくディープな酒体験をさせて頂いたものです。
「まさかインターネットで調べて来たんじゃねぇだろうな?最近多いんだよ!」とか言ったかと思えば、僕のiPhoneに興味津々で、ちょっとマップを見せてあげたら「スゲー!」とか言って来たりして本当憎めないし飽きませんね、酒好きおやじの面々というのは。

「そういうのちょっと…」という方は2人以上で行くといいでしょう。
テーブル席もいくつかありますから。

メニューは日替わりのお刺身が書かれた紙が1枚。
これはかなり独特の文字で書かれてあるので、解読の必要があります。
それ以外は壁に貼ってある大体2〜30品くらいが全てで、そんなに品数は多くないですね。
しかしイワシフライ(380円)アジフライ(400円)厚揚(300円)煮込(350円)ポテトサラダ(300円)エイヒレ(350円)等々、必要最低限にして厳選された品々が並び、酒飲みのポイントを抑えまくってます。

さて、細雪さんの名物料理ですが、一番有名なのがこの肉豆腐
豆腐が1丁丸々使ってあります。




肉豆腐(350円)
肉豆腐(350円)





盛りが雑!w
しかしこれが、豆腐の中にまで味が染み込んで、たまねぎや肉片で食感を変えながらチビチビと酒をやるにはベストなおつまみなんですね。




酎ハイ(290円)
酎ハイ(290円)




酎ハイのジョッキもドーンとビッグで嬉しくなりますね。

そして肉豆腐もさることながら、僕が細雪で毎回注文する、絶対に外せない1品がこちら!




丸干しいわし(300円)
丸干しいわし(300円)




丸干しいわしです!
この日はとくに当たりって感じ!
写真を見てもらえればわかると思いますが、丸々と太った身に脂が乗りまくり!
絶妙な塩加減が脂の旨味を引き立てて、もう最高です!
ところで焼き魚の内臓の苦味、あれって僕、好き派なんですよね〜。
これをつまみに焼酎をゴクゴクと。
まじたまんねぇ!

もうね、例えば1人で行くと、こんくらいで酒の2、3杯でも飲めば十分満足なんですよ。
それでお値段1,000円ちょっとくらいでしょう。
天国としか言い様がないですよ…。


以上のように価格は激安ながらも1品1品のクオリティが高く、なにしろ一歩お店を入ると感じられる昭和的情緒が最高すぎる細雪さん。
“渋谷は庭”ってなお洒落ボーイお洒落ガールのみなさまも、たまには趣向を変えてこんなお店に行ってみてはいかがでしょうか?

っつーわけで、今回はこの辺で。
ちなみに“渋谷”“細雪”で画像検索すると、やたらとチミドロのメンバーの画像が引っ掛かっておもしろいのでそちらもお試しあれ。
それでは!





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住所:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-8
アクセス:京王井の頭線「渋谷」駅




関連サイト
細雪 - 渋谷/居酒屋 [食べログ]
http://chimidoro.iiyudana.net/(チミドロ)




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