手番ですよ。
第7回「懐かしの『パーティジョイ』のデザイナーに聞く!」
パーティジョイ
バンダイから発売されていた懐かしの低価格ボードゲームシリーズ。
30歳代半ばくらいの人の中には、この「パーティジョイ」がゲームの原体験になっている人も少なくないんじゃないでしょうか。
その「パーティジョイ」シリーズの中でも屈指の名作として名高い「三毛猫トマトの配達屋さん」。日本における「ピック&デリバリー」系、「おつかい」系ゲームの元祖とも言えるこのゲームのデザイナーさんが、ドイツゲーム界の名作「おつかい」系ゲーム「アウフアクセ」をプレイしたことない、との衝撃的事実!
実際にプレイしてもらって、「パーティジョイ」シリーズについてもいろいろと語ってもらってもらおうというわけで、パーティジョイの多くを手掛けたデザイナーの野村紹夫さんが代表を務める会社「ルートイレブン」のオフィスにお邪魔してきました。
沢山の面白い話が聞けたので、いつもより少し多めでお送りします!たっぷりとお楽しみください!




「アウフアクセ」をプレイしてもらってスタート
タナカマコト(以下タナカ):
 さて、早速ですが、実際に「アウフアクセ」をプレイされてみて、率直な印象としては?

野村紹夫(以下野村):
 やっぱり、真面目だな、と思いましたね。展開をちゃんと想定して、あんまりハメを外してない、ということ。我々は、ゲームって子供のもの、ということでやっていたので、ふざける方向でやっていましたけれど、中心にしようという面白さから、大きく外さない。で、面白さも、どういうところに持たさているかっていうと、入札、競り。そういうところも「向こう」風なんですかね。

タナカ:
 三毛猫トマトの中でも、実際、狙ってハメを外しているところもあったんですか?

野村:
 決められた、与えられたテーマでゲームをつくろうという時に、なにかをオーバーにしようというのが常にあるんですよ。

タナカ:
 例えば?

野村:
 まず、第一に、宅配便が町や村を飛び出して、同じ車で日本中まわるのはありえないですよね。ましてや高速道路通るなよ、宅配便の車が、っていうのが。(笑)

タナカ:
 はいはい。

野村:
 なんでそういうことやろうかってことなんですけど、そのほうが面白そうだから、なんですよね。どうせだったら、日本全国巡ったほうが楽しいですし。こちらは、最初からそういうつもりでつくっているので、イベントカードにしても、「台風で荷物が飛ぶ」とかですからね。でも、「アウフアクセ」はそういうのありえないですよね。ちゃんと作ってますよね。




「アウフアクセ」プレイ中
「アウフアクセ」プレイ中




タナカ:
 じゃ、三毛猫トマトの場合は、システムだとか駆け引きだとかの面白さというよりは、設定だったりだとか、物語の面白さ、ドラマ性みたいなものを掘り下げたかったという感じなんでしょうか。

野村:
 発想の時点では、わりと近いところからだとは思うんですけどね。実際の地図があって、それを何度も行ったり来たり、というね。地図がなくてもシステム的には成り立つじゃないですか。でも、リアルな地図でやりたい、っていうのはあるんでしょうね。

タナカ:
 たしかに、そういう面白さは大事ですもんね。実際、カード版もあるんですけど、ボード版のほうが面白いんですよね。

野村:
 カード版、「ミルボーン」みたいな感じなんですか?

タナカ:
 そうですね。近いです。

野村:
 アハハ。やっぱり。実は、私も作ろうと思いました。そんな感じなのをね。(笑)「アウフアクセ」のボード見てても、実際の地名、実際のルートなんだろうな、という雰囲気はありますし、そういうのを作りたかったんだと思うんですよね。

タナカ:
 三毛猫トマトでも、位置関係やルートっていうのは、ある程度、実際のものに則しているんですか?

野村:
 概ねあってますね。合ってますけど、ただ、フェリーはウソつきましたね。(笑)

タナカ:
 アハハ。

野村:
 繋ぎたいところを繋いじゃえ、と。実際にも、大体あるだろう、と。(笑)

タナカ:
 最初は、フェリーなかったんですか?

野村:
 いや、最初からありました。どうしても、行き止まりは作りたくなかったんですよ。ルートの自由度を高めたかったので。だから、自然とウソついちゃいました。

タナカ:
 なるほど。

野村:
 あとは、高速道路ですかね。これは真面目に作ろうと。ショートカット、逆転の目を作りたかったのがあったので、自然とパパッと決まりましたよね。移動を早くするには、真ん中を通してしまう必要もありましたしね。




そして「三毛猫トマト」
タナカ:
 三毛猫トマトの出発点としては、どういうところなんですか?バンダイさんからそういう依頼だったんですか?

野村:
 バンダイさんからダイレクトに「宅配便作ってくれ」でしたね。大体、そうなんですよ。ダイレクトに「キン肉マン作ってくれ」とか、「〇〇で作ってくれ」って感じなんですよね。その先は任されるんですけど、「なんで?」ですよね。ちょうどその頃、クロネコヤマトさんがコマーシャルいっぱいやってたので、それでかな、っていうのがあって。「はい、わかりました」って言った瞬間に、頭の中に車で移動するゲームっていうアイデアはありましたけど。

タナカ:
 じゃ、もう、最初からなんですね。拾っては届け、拾っては届け、というゲームにしようと。

野村:
 最初から。だって、楽しそうですもんね。あと、たしかその時、おもちゃショーがあったんですよ。そのおもちゃショーでトミーのブースに行って、トミカマップを見ちゃったんですよね。絵地図みたいになっているのがやっぱり楽しそうなので。道路が中央分離帯まで綺麗に描いてあって、そのまわりにエンコした車がちゃんと描いてあって、この上で、荷物を運んで遊んだら楽しいだろうなって。あと、「日本特急旅行ゲーム」が頭に浮かんだんですよね。全国まわって、今度はここに行ってっていう。そういうところから、最初からある程度形になりましたよね。

タナカ:
 その時点で、おそらく世界でも荷物を積んで運ぶ、っていうゲームはなかったと思うんですけど、そのアイデアが浮かんだ時点で、これは行ける!という印象はあったんですか?

野村:
 荷物を運ぶ、ということが特別なことだと思わなかったんですよね。宅配便だから、荷物を運ぶのが当たり前だろう、と。

タナカ:
 そうなんですか?

野村:
 これは行ける!と思ったのは、そういうところより、荷物の奪い合いを形にした辺りですよね。

タナカ:
 なるほど。

野村:
 オリジナルを盛り込もうというよりは、その頃の風潮として、我々の中にデッドヒートさせなければいけないっていうのがあったんですよね。そうでないと、最後ダレるよ、と。で、また考えないといけなくなっちゃうんで。いかにデッドヒートさせるか、ということを考えたときに「そりゃ、荷物を奪い合うしかないだろう」と。(笑)

タナカ:
 アハハ。

野村:
 それがうまくいって、何度テストプレイをしても、最後、ギリギリまでもつれるんですよね。で、これは行けるな、っていう。その時は確証がありましたよね。

タナカ:
 着想からアイデアを膨らませている段階で、というよりは、奪い合いという要素を組み入れたところで、ある程度、完成形が見えてきたという感じだったんでしょうか。

野村:
 そうですね。あと、最初作っている時に心配だったのは、みんながバラバラにプレイしちゃうんじゃないか、っていうのがありましたよね。

タナカ:
 ああー。

野村:
 自分の車ばっかり見て。それをどうやったら絡みを持たせられるかっていうのがありましたよね。どうやったら、ほかのプレイヤーの車が気になるようになるかな、というのがあったんですけど、それが最終的に奪い合いを入れた時に、行けるな、と。

タナカ:
 なるほど。

野村:
 通行止めとかは入れているんですけど、実際にそれが機能するかどうかは遊ぶ人によりますからね。

タナカ:
 奪い合いを盛り込むことで絡みのウエイトを重くして、白熱するようにした、ってことなんですね。

野村:
 その一方で、小さい子が遊んだ時に、自分のことだけやっていてもゲームは成立するようにはなってますからね。

タナカ:
 おそらく、当時の時点で、「三毛猫トマト」は結構評判よかったと思うんですけど、そういう実感はあったんですか?

野村:
 実は、当時は結構ノリノリで、どんなゲームもそれなりに面白かったので、特別な実感っていうのはなかったんですよね。(笑)ただ、営業の上司が「面白い」って言ってたんですよね。いつもは結構ボコボコに言われていたんですけどね。それは印象に残っています。あと、バンダイさんでも結構好評だったんですよね。

タナカ:
 「三毛猫トマト」が一番面白かった、っていう人も少なくないですよね。で、少し伺ったところによると、実はシステム部分だけでなく、野村さんがそのほとんどを作ったんですよね?

野村:
 当時、主に二つの会社で、同時にいくつかのタイトルを平行して作っていたんですね。で、聞いたところによると、もうひとつの会社ではみんなで話し合いながら作っていたらしいんですね。でも、私の方は一人一タイトルずつ抱えて、ウンウン唸りながら作る、と。で、ずっと考えて、そろそろテストプレイしてもいいかな、という勇気が出てきたら、ほかの人に声をかけてやるんです。で、言いたい放題言われて、つくり直して、今度はどうだ!の繰り返しです。(笑)

タナカ:
 実際の製作期間としてはどのくらいだったんですか?

野村:
 どのくらいだったんだろう?そんなに揉めずに、割と素直にポンポンと行ったので、二、三週間くらいだったと思います。

タナカ:
 二、三週間というのは、ほかのタイトルと比べて、早いほうなんですか?

野村:
 うーん、平均的か、ちょっと早いぐらいじゃないですか。一ヶ月かかるというのはほとんどなかったと思います。私にとって、パーティジョイを作るようになって二タイトル目だったんですね。だから、多分、アイデアに溢れていたんですよね。だから、ほとんど、苦労した印象もないですしね。

タナカ:
 明るいテイストのグラフィックも、最初から、あのテイストのグラフィックで行こうという感じだったんですか?

野村:
 あれはもう、私が勝手に決めました。グラフィックは別の会社がやってたんですね。パーティジョイっていうのは、まず社内でテストプレイして、そろそろ行けるなとなったら、バンダイに連絡をするんですね。バンダイでテストプレイして、意見交換をして、その意見交換が二回か三回くらい交わされたところで、決まる頃になってくると、やってくるわけですよ。デザインをやるために、テストプレイに参加して。内容を理解した上で、デザインに入るんですよ。その時にこちらからイメージをファックスする時に「ボードは、トミカマップみたいな感じでお願いします」と。(笑)

タナカ:
 じゃ、最初から、もうそのイメージだったんですね。

野村:
 パーティジョイ自体が、明るいテイストのイラストが多かったですからね、もともと。オカルト以外は。(笑)

タナカ:
 はいはい。(笑)そうですね。

野村:
 この人が描くとこういうイメージになるな、というのがある程度あって、その上に盛り込むネタの部分で、という意味での「トミカマップ」ということですよね。できれば、いろいろな周辺のところで遊んでほしいな、みたいな。しばらくして、出来上がる前に線画がファックスで送られてきたんですけど、出てくるのをみて、面白いものができてきた、というのはありましたよね。

タナカ:
 テストプレイの時点では、どこまで描いているんですか?

野村:
 年々横着になりましけれど、描きたいところはちゃんと描いて。ほかは、ボールペンとマジックで色分けして、無味乾燥ですよね。(笑)指示があることもあったので、そういう時はちゃんと描きますけど、ほかの場合は、簡単な線画のこともありますよね。

タナカ:
 なるほど。

野村:
 僕もデザイナーなんですけど、最終的なデザインを他の人がやると思うと容赦なく言ってましたよね。ダメ出しして。(笑)

タナカ:
 アハハ。三毛猫トマトもダメ出しはあったんですか?

野村:
 しなかったですね。見事だったんですよ。

タナカ:
 最初から?

野村:
 電話でさすが!って言いました。凄過ぎる、とも。

タナカ:
 総合すると、三毛猫トマトは恵まれたタイトルというか。アイデアもすんなり出てきたし、テストプレイの反応もよかったし、デザインも一発オーケーだったし。

野村:
 そうですね。

タナカ:
 ほかのものと比べても安産だったわけですね。

野村:
 安産でしたね。その次のは難産でしたけれどね。(笑)

タナカ:
 アハハ。




パーティジョイシリーズとは
野村:
 でも、あの頃のゲームはよかったですよね。ルールもそれほど複雑じゃなかったですし、ノンキャラだし。

タナカ:
 はいはい。

野村:
 あのくらいで、ずっと作らせてもらえるとよかったんですけどねぇ。のちのち、やっぱり力が入ってくるんですよ、発注する方も。キャラクターものじゃないと売れないとか、もうちょっと複雑なものにしてくれ、とかね。

タナカ:
 パーティジョイも最後のほう、奇想天外なものもありましたもんね。

野村:
 毎回、新しいものを作ろうという意識はありましたけれどね。でも、やっちゃった、っていうのもありましたよね。(笑)

タナカ:
 もし、今、三毛猫トマトを手直しするとしたら、どんな風にしたいですか?

野村:
 あれ自体はいじらないかなぁ・・・。

タナカ:
 完成形?

野村:
 うーん、現代版とか、アクシデントカードを今風に、とかはあるかもしれないですけれどね。

タナカ:
 十二分に出来上がっているということですね。

野村:
 大人向け、というか、同じく宅配便をテーマに、ということで別のゲームであれば作りたいですけれどね。

タナカ:
 たしかに、すでに十分面白いですからね。実際の運送屋さんから感想が来た、なんてことはあったんですか?

野村:
 なにもなかったですね。そもそも、どこにも持って行っていないでしょうからね。クロネコヤマトのライセンスを取るのかなーと思っていたんですけど、取らなかったですからね。最初は「宅急便ゲーム」って言っていたのに、ある時、「宅急便は商標取れないんで、ほかのタイトル考えてください」って来たんですよ。

タナカ:
 最終的には、配達屋さん、と。

野村:
 宅急便がダメなら「じゃ、宅配屋さんは?」って言ったら、「それも取られてます」。で、そんなやりとりがずうっと続いて、「あと配達屋さんぐらいしかないですよ」って言ったら、「それは大丈夫です!」(笑)

タナカ:
 で、「日本全国三毛猫トマトの配達屋さん」になったわけですね。

野村:
 三毛猫トマトという部分は、バンダイが付けたんですよ。イマイチかな、と思ったんですけどね。(笑)

タナカ:
 バンダイのほうからキャラクターでゲーム作ってくれという依頼が来るときっていうのは、システムの部分に指示とかはあるんですか?

野村:
 特にないですね。「なにしてもいいからこのキャラで作って」という感じですよね。ただ、アニメがもとになっている場合は、放映時期でどの辺りの内容っていう話はありますよね。

タナカ:
 売れたらご褒美みたいなものはあったんですか?

野村:
 何もないですね。(笑)

タナカ:
 ちょっと切ないですね。(笑)

野村:
 ただ、アンケートハガキは回してもらってましたけどね。束になったものをもらってきて、一生懸命読んでました。

タナカ:
 それを、次の作品に活かしたり、ということですか。

野村:
 活かせるようなことは、あんまり書かれてなかったです。(笑)「おもしろかったです」とか「今度はあれで作ってください」ぐらいですよね。(笑)

タナカ:
 アハハ。

野村:
 でも、反応があったっていうのを感じることはできましたからね。


タナカ:
 最終的に、野村さんはいくつくらい手掛けられたんですか?

野村:
 いくつくらいだろう?最終的に、僕が作ったってことになるヤツ、単独で作っているヤツで10個かもうちょっとだと思うんですよ。それ以外に、僕が会社にいる間に来たヤツは、なんらかの形で関わってますから、ちょっとで関わっているもので言ったら、全体の三分の一くらいになるのかなぁ。僕が一番長いんですよ。ほかの人間は大体途中で辞めちゃって。

タナカ:
 仕事としては辛いものだったんですか?

野村:
 ひとによりけり、じゃないですか。辛いって言っている人は多かったですけどね。(笑)「またゲーム作らなきゃいけないの!?」という人、多かったですからね。僕は、「またゲーム作ってもいいの!?」でしたけどね。ただ、同時期にいっぺんにいくつものタイトルを抱えていると大変でしたよね。うまくできたほうからボツになっていったり。版権が取れなければ、それでダメになりますからね。」

タナカ:
 納期としてはどれくらいだったんですか?

野村:
 具体的な納期、っていう言い方では決まってなかったですね。ただ、スタートから三ヶ月程度で納品されるのが、標準的でしたよね。最初の一ヶ月でデザインをある程度終わらせるような目安で、その中で頑張っていたっていう。

タナカマコト
三ヶ月くらいだと短い感じしますけどね。。

野村:
 逆に、だからよかったんじゃないですかね。三ヶ月くらいで出来上がって、コストもあんまりかからないから、とりあえずボードゲーム出しとく?みたいなのがあったんじゃないですかね。僕の印象ですけどね。

タナカ:
 長いパーティジョイの歴史の中で、ここは◯◯の時代、みたいな位置づけだったり、印象って言うのはあるんですか?

野村:
 三毛猫トマトのあたり、20番台の頃が、一番のびのびやれてたんじゃないですかね。ゲームが複雑化しないで許された、という。ファミコンのボードゲーム版をやるようになってから、ちょっと窮屈だった気がしますよね。ゲーム盤が攻略上になってなければいけない、とか。」

タナカ:
 なってなければいけない、だったんですか。

野村:
 攻略情報を売りたい、というのがあったんでしょうかねぇ。

タナカ:
 かなり強引ですよね。攻略情報になってなければいけない、っていうのは。

野村:
 プレイしているところをビデオで録画して、それを資料にして、ですよね。

タナカ:
 リストをみると「グラディウス」までありますね。(笑)

野村:
 「グラディウス」もうちの会社だったんですけど、こういうの、大変ですよね。シューティングゲームって、ねぇ?。(笑)パーティジョイから離れちゃうけど、マリオのドンジャラ作りましたよ。ドンジャラはドンジャラで大変なんですよ。数が多いんですよね、二日間でルールを15作れ、とかね。

タナカ:
 パーティジョイ作ってて、一番楽しかったのはどんな時ですか?

野村:
 考えているときは、なにしろ、いつも楽しいですよね。とにかくなんでも言ってくるんですよね、なにか少し流行ると。それってゲームになるのかな、と考え始めるわけですよ。それが思いつき始めた辺りから面白くなっていくんですよね。そのあと、形になっていく過程も楽しいですよね。

タナカ:
 逆に、大変だったのはどんなところですか?

野村:
 大変というか、悔しいのは、作っているのが中止になっちゃうことですよね。版権取れなかったんで製作中止とかね、中途半場に終わるのが一番嫌でしたよね。

タナカ:
 版権の話が出ましたけれど、リストをこうして見てみると、版権じゃないのも魅力的、面白そうなもの多いですよね。

野村:
 担当者も、キャラクターものだけ売ればいいとはおもってないんですよね。ノンキャラも育てて売っていきたいというのがあったんでしょうね。

タナカ:
 そんな風に出すタイトルが決められていったんですね。

野村:
 あとは、たまにどこかから持ってくるんですよ。「こんなのあったから、これセットしてゲーム作らない?」みたいな。あるタイトルのおもちゃを作るから、その型を使って、ってことですよね。最初から、パーツ決まってて、予算決まってて、その中でどんな風につくるか、ってことですよね。




制作に関わった数々
制作に関わった数々




タナカ:
 いま、またバンダイからボードゲームやりますか、と聞かれたらまたやりますか?

野村:
 そうですね。くればやります。(笑)

タナカ:
 その後、パーティジョイから離れて、ゲームのアイデアを温めたりとかはあったんですか?

野村:
 しばらくはなかったんですよ。コンピュータゲームやネットゲームの方へ行ったんで、そっちの思考になってたんだすよね。ただ、ドイツのゲームの本なんかを途中で読んで、いいなぁ、こんなゲーム作りたいなぁ、と思うことはありましたよね。そのなかで、いくつかアイデアを考えたりをしましたよね。映画を作るゲームは、僕なりのを作りたいとは思いましたよね。あとは、「マイクロソフト対アップル」の二人用ゲームとか。(笑)

タナカ:
 面白そうじゃないですか。(笑)

野村:
 いろいろな要素を入れてね。そういういのは作りたいですけれど、ただ、あんまりシミュレーションっぽくしたくないっていうのはありますよね。そういうテーマを使うんだけど、わかりやすいものにしたいんですよね。ちょっと遊びを入れたい、極端にやりたいんですよね。

タナカ:
 じゃ、ある程度、ディフォルメするっていうのが、野村さんのデザインの中で重要ってことなんでしょうか?

野村:
 その段階で変な、面白いルールを思い付くというものもあるんですよね。真面目にやると、テーマにシステムが引っ張られちゃうんですよ。あれとこれを入れないといけないんじゃないか、とか。

タナカ:
 たしかに、そういう意味では、三毛猫トマトもそうですよね。荷物があっさり腐っちゃったりだとか。

野村:
 どんなトラックだよ、って感じですよね。(笑)

タナカ:
 「アウフアクセ」は、こうして見ると真面目なゲームですもんね。

野村:
 向こうの風潮なんかもあって、日本とはまったく違う状態なわけですからね。

タナカ:
 それにしても、三毛猫トマト、「アウフアクセ」より3年早く世に出ていたっていうのが凄いですよね。

野村:
 僕がヨーロッパで生まれて、あっちで出していたら、もっと違う状況になっていたかもしれないですよね。(笑)

タナカ:
 今度は、「アウフアクセ」の作者、クラマーにもやらせてみたいですよね。(笑)

野村:
 結局、最後、荷物の奪いになっちゃってね。(笑)

タナカ:
 アハハ。面白い話、沢山聞かせていただいて、今回はありがとうございました。

野村:
 こちらこそ、ありがとうございました。




「三毛猫トマトの配達屋さん」と一緒に
「三毛猫トマトの配達屋さん」と一緒に




最後に
いままで、ここまで「パーティジョイ」の裏側について語られたことはなかったんじゃないでしょうか?
そういう意味でも、非常に興味深いインタビューとなりました。
聞いてた私も久々に「パーティジョイ」を引っ張り出して遊びたくなりました。
同じ気持ちになった人、どうです?一緒に遊びません?(笑)

というわけで、今回はここまで!では、チューッス!




関連サイト
TendaysGames(テンデイズゲームズ)




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